東京で生まれたKさんは、幼い頃に両親が離婚した際、母親に引き取られて舞鶴に移り住んだ。当時を知る人の話によれば、彼女は内気な少女だったそうだ。実はその頃、彼女は遺体発見現場の近くのマンションに住んでいたのだという。だが、中学に入ると、彼女は引きこもりがちになり、一時は親元を離れ、親戚のいる埼玉の学校に通う時期もあったそうだ。その後、舞鶴に戻って高校に進学したが、4月の入学以降、登校したのは5月2日の1日だけだった。
Kさんには、父親代わりの男性がいた。だが、その男性が事件の前月に亡くなってしまう。不登校気味だったうえに、生活環境の劇的な変化……心理的に相当不安定になっていたようで、彼女のプロフには、寂しい気持ちが何度も書き込まれていた。
「彼女は精神的にも不安定で孤独な少女だった。そんなときの心理状態って、昔を懐かしむ傾向があると思うんです。憶測ですが、以前住んでいた場所に行こうとしていたのかもしれない。そこへ向かう途中で自転車の男と出会い、“夜道は危ない。自分も同じ方向に行くから送るよ”とでも言われたんじゃないかな。そして、その男に殺害された……あくまで想像ですが」(北芝氏=以下同)
「散歩していて、今、○○薬局にいる」
次に所在が確認されたのは、日付が変わって5月7日の0時50分頃。親友に「散歩していて、今、○○薬局にいる」と電話をしている。この薬局は、ガソリンスタンドと同じ国道沿い、そこから西に約1・5kmの地点にある。そして1時20分頃、薬局の先を曲がって少し北上した辺りで、Kさんらしき女性が自転車を押す男と歩いている姿が目撃され、その様子はそこから約1km先にある海上自衛隊施設の脇の防犯カメラや、さらにそこから約2km先の運送会社の防犯カメラにも映っていた。その1・5km先、遺体発見現場から300mの地点でも、その姿が目撃されたといわれている。目撃情報は、いずれも車ですれ違ったというものだった。
ちなみに、遺体が発見された場所の付近で、若い女性の話し声を聞いたという証言もあったが、その周辺は以前から若者の溜まり場になっていたという情報もあり、その声がKさんのものかどうか、定かではない。