女性はかなりショックを受けたようですが、それだけではすみませんでした。この先輩が、上司との不倫の噂を社内で吹聴したらしいのです。この先輩は、上司の過去の不倫の噂を知っていたくらいですから、情報収集能力に長けているのでしょうが、こういう“情報通”は自分が聞いた話を広めることも躊躇しません。
そのせいか、SNSで「枕営業して出世しようなんて最低」「出張先まで押しかけるなんて、よほど好きなんだ」「あんなおじさんにやらせるくらいだから、かなり遊んでる」などと誹謗中傷されるようになりました。
先輩に抗議したものの、「私は誰にも話してないわよ」と言われると、それ以上追及することはできなかったそうです。この頃から夜眠れなくなり、出社しようとすると動悸や吐き気が出現するようになって、私の外来を受診しました。
薬を処方しても、症状はなかなか改善しませんでした。診断書を提出し、しばらく休職したのですが、誹謗中傷に耐えられなかったこともあって、結局この女性は会社を退職したのです。
例の上司への怒りを抑えられなかったので、退職届を提出する際に人事部の部長に不倫の事実を打ち明けたところ、部長は「調査する」と答えたそうです。しかし、その後会社のかつての同僚と偶然会った際に、例の上司は全然おとがめなしで、何の処分も受けておらず、相変わらずバリバリ働いているという話を聞きました。それを聞いて愕然とし、「自分は仕事も収入も失ったのに、なぜ上司は何の罰も受けず、のうのうとしているのか」と腹が立って仕方がなかったとか。
この上司が不倫を繰り返す背景には、会社が大目に見ていることもあるのではないでしょうか。やり手で、業績をあげているため、少々のことには目をつぶるという姿勢なのでしょう。
不倫を報じられた有名人が社会的に抹殺されることもある昨今、不倫が少々のことかどうかは疑問です。ただ、双方が合意して性関係を持った以上、犯罪ではないので、会社に多大な利益をもたらす社員のふるまいは大目に見るわけです。
こうした会社の姿勢がこの上司の特権意識に拍車をかける可能性は十分考えられます。ですから、今後も不倫を繰り返し、相手の女性を“性欲を満たす道具”として扱い続けるのではないでしょうか。
女性を征服することに「狩り」のような快感を覚える
不倫を繰り返す男性のなかには、女性を征服することに「狩り」のような快感を覚えるタイプが少なくありません。
渡部さんの複数の女性との不倫が報じられた際、
「あんなきれいな奥さんがいてなぜ浮気するのか」
という疑問の声が多数ありました。
ただ、周囲の誰もがうらやましがるような美人妻を持ちながら、不倫を繰り返す男性はどこにでもいます。その一因として、それだけモテることがあるのではないでしょうか。