たびたび世間をにぎわせる不倫報道を目にして「私には関係ないこと」と思う人は少なくないだろう。しかし、不倫はどこにでもあり、いつ誰にでも起こりうる問題だということを忘れてはならない。

 ここでは、不倫に関するさまざまな相談を受けてきた精神科医の片田珠美氏による著書『「不倫」という病』(大和書房)の一部を抜粋し、不倫を繰り返してしまう男性にみられる特徴を紹介する。あなたの周りにも、もしかするとここで紹介するような男性が潜んでいるかもしれない。(全2回の1回目/後編を読む)

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特権意識の塊のような医師

 芸能人に限らず、過去の成功体験によって強い特権意識を抱き、その結果不倫を繰り返すようになる男性は少なくありません。特権意識の根拠になるのは、容姿、高学歴、高収入、役職など、さまざまです。

 いずれの場合も、本人が「自分は特別な人間だから、普通の人には許されないことでも許される」と思い込んでいる以上、よほど痛い目に合わない限り、なかなか反省せず、不倫を繰り返します。

 私が以前勤務していた病院に、“超遊び人”と評判の30代の男性医師がいました。この医師は妻子がいたにもかかわらず、自宅とは別にワンルームマンションを所有しており、そこに看護師や医療事務の女性などを連れ込んで不倫を繰り返していました。

 あるとき、情事の現場に妻が乗り込んで大騒動になり、しかも妻は院長に直訴して、そのとき一緒にいた若い看護師を解雇するよう要求したのです。医局では、みな「あの先生の相手はたくさんいるから、1人くらいクビにしたって、浮気がおさまるわけないよね」と話していました。

 看護師は解雇されませんでしたが、居づらくなって退職に追い込まれました。その後、医師のほうも、父親が経営する病院の院長になるための修業をするとかで退職したのです。

 この医師は幼い頃から病院の跡取りとして大切に育てられてきたのでしょう。そのうえ、医師免許を取得し、高収入を得ることもできるようになったのですから、特権意識が強いのは当然ともいえます。

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 しかも、不倫が妻にばれ、院長にまで直訴されて、病院に居づらくなっても、実家の病院に戻ればいいだけの話です。ですから、退職に追い込まれた不倫相手の看護師とは違い、痛くもかゆくもなかったのではないでしょうか。

 こういう男性の辞書に“懲りる”なんて言葉はありません。それこそ刃傷沙汰になるまで不倫を繰り返します。