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「僕と一緒にいれば、百パーセント満足できたのに!」黒柳徹子がNY留学中に出会ったプレイボーイたち

『チャックより愛をこめて』より#2

2021/05/03

source : 文春文庫

genre : エンタメ, 読書, 国際, 芸能

note

世界一暴力沙汰が多く面白い国・アメリカ

 もっとも日本でも、森繁久彌(もりしげひさや)さんという、外国人をうわまわるほど、お上手のかたがいらっしゃいますけれど。

 それはともかく、美しいといわれた私は、馬の顔の前で、「オホホホ」と笑ってから、そのおまわりさんがこわくないと思ったので、いろんなことを聞きました。

 要するに馬でパトロールをしているのです。車が混む所ではパトロールカーより場所をとらず、背が高いからあたりがよく見え、犯人などを追跡するときは、どこまでも追いかけていかれ、おまけに格好もよく、さらにいいことは、「私が乗馬が好きなことであります」と最後につけ加えました。

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 その他、駐車違反の車を見つけるのも、どうやらこの乗馬おまわりさんの役目と見うけました。ついでにいうなら、このマンハッタンをパトロールする馬は二百頭。そして常時、七十頭はこのマンハッタンをパカパカやっているそうです。馬のパトロールというのも、やはり西部劇の国だからでしょうか。

馬に乗った警察官と黒柳徹子さん

 

 いずれにしても、世界一暴力沙汰の多いこのニューヨークで、のんびり馬にまたがって「あなたが美しいので見張ってるんですよ」なんてのんきなことをいっているおまわりさんのいるこの国も、相当に変わってて、面白い国だと思います。

 おまわりさんとお別れのとき、私は「サンキューベリマッチ!」といいました。ちょっとハンサムなそのおまわりさんは、ていねいに馬の上から頭を下げ、「ドウイタシマステ!」と日本語でいってにっこり笑いました。

 サービスもここまで行きとどけば完璧! といったふうで私は感心したのであります。