D子さんが尼崎市に戻って来て間もない7月上旬のこと、美代子から自殺を迫られていたB子が、マンションから飛び降りると言い残し、いなくなったことがあった。A男たちが行方を捜すと、近くの高層マンションの踊り場に佇むB子を発見した。怖くて飛び降りられなかったB子についてD子さんが「間に合ってよかった」と口にしたところ、「情をかけた」と美代子が激昂して、手に持ったサンダルでD子さんを激しく殴りつけた。美代子はその場にいたA男やC子に向かって「他人のうちがやってるのに、あんたらは手を出さんのか」と言い、逆らうことのできない2人はD子さんに手を上げた。
親族間で相互監視を強制、小5の次女にも暴力
以来、親族間の暴力はなおいっそうエスカレートした。7月中旬からはB子家の3世代全員がA男のワンルームマンションで同居するようになり、生活に制限が加えられた(B子の長女のみが美代子の分譲マンションと行き来する生活を送る)。旧知の記者はその内情について以下のように語っていた。
「まず勝手な外出が禁じられ、睡眠や食事、トイレは美代子の許可が必要になりました。なかでも反抗的で不満を口にするD子さんは厳しい制限を受けていたようです。飲料水は1日500ミリリットルに制限され、トイレは1日2回しか許可が下りませんでした。そのうえで彼女を長時間立たせたり、親族に殴らせたりしました。通販の分厚いカタログがあるでしょ。あれを丸めて通称“しばき棒”というのを作り、目や口などを突いたり頬や耳を殴るのです。美代子は連日、睡眠時間を削らせて家族会議を命じ、毎回テーマを決めて全員に総括させる。そしてその内容をメモに記録してあとで提出させました。メモには問題発言について、まわりがどういう制裁を加えたかまで記載させており、制裁が足りない場合は美代子から責められるという流れが出来上がっていました。A男がもっともD子さんに暴行を加えていたのですが、C子やB子が殴ることもあったようです」
密室内で相互監視を強制され、D子さんだけでなくC子やB子も暴力を振るわれた。さらにはマサからA男が殴られることもあった。きわめつけは当時小学5年生だった次女に対しても、暴力が行使されていたことである。
その様子を目撃した近所に住む女性は、私の取材に対して次のように話した。