文春オンライン

2021/05/04

本人は異変に気づきづらい

 以上のことから、渡辺のような「還暦近く」の患者が受ける治療を考えるとどうなるのか。

「59歳という年齢であれば、外科手術で機械弁を使うのがオーソドックスな考え方です。ただ、俳優という職業上の理由から審美性を重視するのであれば、MICS手術も選択肢になる可能性はありますが、渡辺さんの年齢から見て、血管内治療が選択肢にあがることはありません」

大動脈弁狭窄症の治療のため舞台の降板を発表した渡辺徹さん ©文藝春秋

 過去に虚血性心疾患を患い、糖尿病で人工透析も続けている渡辺は、心臓病のハイリスク群。今回も心臓弁膜症だけでなく2012年に治療を受けた冠動脈に問題が見つかる可能性もある。

「その場合は人工弁に置き換える手術と同時に、冠動脈バイパス手術を行います。心臓弁膜症も狭心症も、動脈硬化によって起きる病気。糖尿病や透析治療を受けている人にとっては珍しいことではありません」

©iStock.com

 いつも笑顔で冗談を連発する渡辺が、重篤な病気と闘っていることにあらためて驚きを禁じ得ないが、誰の身に起きても不思議ではない。糖尿病や慢性腎不全の人はもちろんだが、先に挙げた胸痛などの症状を持つ人も十分に気を付ける必要がある。

 症状が常態化していると、あえて病気を疑わなかったり、高齢者の場合は「年齢のせい」と考えてしまうことも少なくない。ただ、家族や周囲の人が異変に気づくこともあるので、そんな時には受診を勧めてほしい。

こんな症状、ありませんか?

 もう一度心臓弁膜症の特徴的な症状を記しておく。

・動悸
・息切れ、息苦しさ
・胸の痛み(労作時だけの痛みも)
・疲労感、倦怠感
・手足の浮腫み
・めまい
・不整脈

 以上の症状がある人は、一度医療機関(循環器内科、一般内科、総合内科)を受診して、必要に応じて精密検査を受けることをお勧めします。

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