「これは半分建前で、半分本音としては、アメリカのボディポジティビティはちょっといきすぎてると思う。例えば、ファッションブランドの広告で見るプラスサイズモデル。『私、1日7000キロカロリー、とってんの』みたいなことを語っているんですけど、いやいやいや、早死にすんでと(笑)。すごい健康指向がある一方で、こういうのをもてはやすのって、ダブルスタンダードじゃないのと」
広告だから、先端をアピールして、目立って話題になれば勝ち、ということなのかもしれない。
そもそも「容姿に関わる自虐ネタはやめる」という決断をしたことは尊重されるべきだが、他人に押し付けてしまうと、いたずらに表現の幅を狭めることにもなる(福田は別に他の芸人に押し付けていないということはお断りしておく)。
いま人気なのは女性コメディアンの生々しい下ネタ
「アメリカの潮流として“クリーンコメディ”が増えているって言いましたけど(前編)、逆に女性のコメディアンは剥き出しの言葉で強い女性像を前面に押し出す流れが強くなっている。これはもちろんフェミニズムとの関わりなんですけど、自分のセックス体験に基づいた生々しい下ネタでグイグイ押してくる人が、かなり人気を博していたりするんですよね。
で、一昨年にアラバマ州で、人工妊娠中絶を施術した人は禁錮最大99年という、とんでもない法律ができたんです。堕胎手術を執刀した人は、レイプ犯よりも罪が重くなるという。キリスト教原理主義に基づいた法律で、これが通ったときに、その女性コメディアンが下ネタにまぶしてこの話をしたんでビックリしたんですよ。もちろん、下ネタでフェミニズムが結実するなんて彼女たちもまったく思ってないけども、いろんな奥行きがあって、スタンダップコメディをやっているということを感じてもらえるといいなと」
アメリカの笑いは、常に社会の変化とともにあったということだろう。この先、日本の笑いはどう変わっていくのだろうか。