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プレゼントのカラクリ

「着物を何着も買ったのは、知事サイドに近づくためです。そこで水谷会長は、02年から05年にかけ、知事の弟や夫人が経営していた郡山三東スーツグループの品物を買うようになりました。松原のぶえの着物だけではありません。水谷建設に出入りする関係者のスーツやコート、土木作業着から地下足袋にいたるまで、あそこでつくっていました。水谷会長のうまいところは、それらを出入りの取引業者に買わせることです」

 松原と親しかった先の水谷建設関係者が、プレゼントのカラクリを明かす。

「月の最終土曜日になると、福島県内にある水谷建設の支社に会長が出向き、そこへ下請けや孫請け業者を集めて会議を開いていました。その日に必ず郡山三東スーツの担当者を呼んでおく。そうして会議が終わると、会議室の隣で衣類の展示会をやらせるのです。お前のところはコートを買えとか、ユニフォームを買えとか、会長が指図する。だから品物がどんどん売れる。業者の人たちは大変でしたね」

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 取引業者が洋服や着物を買うだけだから、賄賂には当たらない。よく考えたものだ。つまるところ還暦祝いに招かれた松原のぶえは、そのおこぼれに与っていたことになる。芸能人のなかでも、ことのほか水谷功が気に入っていた。

【前編を読む】関空建設工事で起きた生々しすぎる“官製談合” 1兆円超の工費を司った元官僚による異様な要求の実態とは