ブリーフ100枚を穿く実験、富士の樹海や無人島のロケ、山内が元政治家・舛添要一とのロケで行った風船爆破企画など、ありとあらゆる現場を経験する。とくに大阪はロケ時間が長い。1日10本撮りや、17分ほどのコーナーに16時間費やすロケもあった(2019年6月8日公開「週プレNEWS」インタビュー)。
いつしか2人は「ロケの達人」と呼ばれるようになる。しかし、当人たちの胸中は複雑だった。ロケで培ったものも大きいが、「スタジオで笑ってられる立場になりたい」とも感じていた(2020年7月10日公開「朝日新聞DIGITAL」インタビュー)。
そんな矢先、「キングオブコント2015」で2回戦敗退の屈辱を味わう。現状にあぐらをかいていたことに気付き、目が覚めた瞬間だった。
山内の「サイコキャラ」を生んだ大物芸人
翌2016年から本腰を入れてネタづくりに励んだ2人。すると、早々に結果として現れた。
まずは「キングオブコント2016」で3位という結果を残し、翌年には同大会で優勝。「M-1グランプリ2017」から3大会連続で決勝に進出し、ラストイヤーで準優勝を飾った。
この結果だけを見ると、山内の“分析力”によるものだと勘ぐってしまうが、それだけではない。かつてと違ったのは“他者の視点”を芸風に取り入れたことだと、山内は語っている。
「自分で気づいてないけど、濱家が面白いと思ってる僕の部分——たとえば、『となりのトトロ』観たことないのをすごいと思ってるとか。ツッコミは、ボケの人間性を客観的にわかってるじゃないですか。濱家は『お前ってこういうやつやで』って教えてくれるんですよね。そういう部分を強調したネタのほうが、人間性が出るし、ボケの方向性もわかりやすくなって面白くなる」(「Quick Japan」Vol.151)
「タモリさんと仕事したとき、『目が怖い』といういじり方されて、特徴あるのかなと思うようになって、ネタにくだりを入れるようになりました。それまではこだわりはなかったし、顔芸になるのはイヤでしたから」(同前)