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3、一夜にして満水になった・レジェンド「八ッ場ダム」
八ッ場と書いて「やんば」と読む難読ダム。一時期、政治的駆け引きで建設中止になりそうになったダムなので、ご存知の方も多いのではないだろうか。高さ116mの重力式コンクリートという型式で、コンクリートの重さで水を堰き止める構造だ。
2020年に完成・運用したばかりなのだが、その誕生が劇的だった。
ダムの本体ができ上ると、試験湛水という点検をおこなう。試験湛水とは、ダム湖が空の状態から、満水になるまで少しずつ水を貯め、その後、再び水を抜くという点検作業で、異常が無ければ晴れてダム完成・運用となる。
通常、1年近くかかる点検作業なのだが、このダムは一夜にして満水になったというエピソードがある。試験湛水で水を貯めている最中に台風が接近し、あわや利根川が氾濫するという危険が迫った。その時、八ッ場ダムが大活躍し、ほとんど空の状態だったダム湖いっぱいに水を貯めて氾濫を防いだのだ。
もし、八ッ場ダムが無かったら利根川があふれ、埼玉や東京が水浸しになっていたかもしれない。八ッ場ダムは、ダムとして生を受ける前から伝説的な活躍をした頼もしいダムなのだ。