日本一巨大な面積を誇る関東平野。その広さは約17000平方kmにもおよび、国内第2位である北海道の石狩平野、約3800平方kmの約4.5倍の面積となる。関東平野に住む人口は約4000万人で、この数は日本の人口の3分の1に相当する。

 これだけの数の人が住んでいるのだから、使われる水道の量も半端なく多いことはたやすく想像できるだろう。水は、井戸水を汲み上げたり、川から取水して、ろ過し、きれいで安全な水に浄水してから各家庭に供給されている。関東圏では、現在は、井戸水はあまり利用されず、川の水を使うことがほとんどだ。

 しかし、川の水は無尽蔵にあるわけではない。長い間雨が降らなければ川は渇水となり、水を取ることができなくなってしまう。こうなると、給水制限や取水制限などがおこなわれ、最悪の場合、蛇口をひねっても水が出ない事態におちいる。

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 こんな事態を避けるため、関東圏には多くのダムが存在する。国内には2700基ほどのダムがあると言われているが、このうちの約7%である185基のダムが関東圏にある。雨が多い季節にダムに水を貯め、雨が降らない季節に貯め込んだ水を放流して川に流す。こうすることによって、安定的に水道水を供給することができるのだ。

利根川は関東圏の主要な水源

©️宮島咲

 関東には多摩川や荒川など、多くの大河川が流れているが、その中でも特に大きな河川は利根川である。

 利根川は、群馬県の最北端にある大水上山を水源として、埼玉県、茨城県を通り、茨城県と千葉県の県境あたりにある犬吠埼にて太平洋にそそぐ、全長322kmの河川。国内第2位の長さで、流域面積と呼ばれる、雨が流れ込む範囲は国内ナンバーワンだ。

利根川最下流にある利根川河口堰 場所・茨城県神栖市/管理・水資源機構 ©️宮島咲

 東京・埼玉・千葉・群馬・栃木などの関東圏の水源となっており、多くのダムが造られている。今回は、そんな利根川にある魅力的なダムを紹介していこう。