1ページ目から読む
6/8ページ目
5、見られることを意識した・昭和モダン「間瀬ダム」
ダムの役割は、飲み水を確保したり、洪水を防いだり、電気を作ったりするだけではない。日本最古のダムは、西暦600年頃に誕生した狭山池ダムだが、その目的は、農作物を育てる水である、かんがい用水を確保するためだった。
この間瀬(まぜ)ダムは、東日本最古のかんがい用水専用のコンクリート製ダムとして1936年に誕生した。
天端(ダムの上)の欄干には擬木が使われていたり、ダムの親柱が灯篭風だったりと、随所に昭和の雰囲気が色濃く残っており、先に紹介した近代的ダムとは一線を画す造りとなっている。この頃に造られたダムは、水を貯められればそれでよいという考えではなく、見られることを意識して設計されていたと想像できる。
このダムの水は、児玉用水路を通じて、埼玉県の本庄市、美里町、深谷市の田畑に送られ農作物を育てる水として使用されている。もしかしたら、あなたの食卓に上がっている野菜は、間瀬ダムの水で育った野菜かもしれない。