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《ほとばしる“ダム汁”》女王、レジェンド、昭和モダン…日本一巨大な平野を支える関東圏のダム6+1選

2021/05/16
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1、利根川源流・“動”の「矢木沢ダム」

矢木沢ダム 場所・群馬県みなかみ町/管理・水資源機構 ©️宮島咲

 矢木沢(やぎさわ)ダムは利根川の最上流にあるダムで、高さ131mのアーチ式コンクリートダムだ。アーチ式コンクリートダムは、ダム本体が湾曲している構造で、少量のコンクリートで建設できるメリットがある。

2月頃の矢木沢ダム。ダムの上に雪が積もっている ©️宮島咲

 通常、このダムのまわりには5月ぐらいまで雪が積もっており、この雪が少しずつ解けて利根川の水源となる。ちなみに、今年は4月中旬には雪が無くなっているため、今年の関東圏は水不足になる可能性が高いらしい。

 矢木沢ダムの放流と、それを見学する群衆 ©️宮島咲

 このダムの最大の特徴は放流。ダムは常に放流していると思われがちだが、じつは、ダムは水を貯めるのが仕事なので、水をムダに流してしまう放流は滅多にしない。ただし、年に1回だけ点検放流というものをおこなっており、この日に行けば必ず放流を見ることができる。

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放流口に近寄るとずぶ濡れになる ©️宮島咲

 現在はこの点検放流は観光イベントとなっており、今年は中止になってしまったものの、例年6000名もの人が詰めかける人気ぶりだ。スキージャンプ式の洪水吐から放たれる水はとても迫力があり、見学者はずぶ濡れになりながらダム汁(放流水)を楽しんでいる。豪快で、とても躍動的な放流なので、「動の放流」と表現されることも多い。