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《ほとばしる“ダム汁”》女王、レジェンド、昭和モダン…日本一巨大な平野を支える関東圏のダム6+1選

2021/05/16
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番外編・山手線はこのダムの水で動いている「宮中取水ダム」

宮中取水ダム 場所・新潟県十日町市/管理・JR東日本 ©️宮島咲

 このダムは新潟県にある信濃川水系のダムだが、関東圏とは切っても切り離せないダムなので番外編としてご紹介したい。宮中取水(みやなかしゅすい)ダムはJR東日本が所有しているダムで、水力発電用の水を取水することを目的としている。

千手発電所の発電機 ©️宮島咲

 このダムから取水された水は、新潟県にある信濃川発電所群(千手(せんじゅ)・小千谷第2発電所)に運ばれ、約45万kWの電気を生み出している。生み出された電気は送電線で関東圏に運ばれ、JRの電車を動かす電気として使われている。山手線やJR東日本の新幹線は、このダムで作られた電気で動いているのだ!

発電機の銘板。製造年月に注目 ©️宮島咲

 千手発電所の発電機はとても古く、1937年に製造されたものを今でも大切に使っている。80年以上も前に造られた発電機の電気で、最新鋭の新幹線が動いていると考えると、なんだか滑稽だ。上の写真は発電機に貼られた銘板なのだが、製造年月日が西暦ではなく皇紀で記載されている。壊れないように丹念にメンテナンスして使い続けるという、JRの前身である国鉄時代からの社風が今でも色濃く残っている。

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日々の生活を支えるダム

 ダムは、飲み水を貯めたり、洪水を防いだり、農作物を作る水を貯めたり、電気を作ったりなど、さまざまな役割を持っている。ダムは環境破壊などと言って、不要だという意見を持つ人もいるが、そう主張する人々の生活やインフラまでもが、ダムがあることによって成り立っている。

 日々の生活は、意外とダムが支えているものなのだ。

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