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《ほとばしる“ダム汁”》女王、レジェンド、昭和モダン…日本一巨大な平野を支える関東圏のダム6+1選

2021/05/16
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6、一心同体・困ったときの「八汐ダム・蛇尾川ダム」

八汐ダム 場所・栃木県那須塩原市/管理・東京電力 ©️宮島咲

 八汐(やしお)ダムと蛇尾川(さびがわ)ダムは「セット商品」だ。2つのダムは水圧鉄管という管でつながっており、その間に発電所が設置されている。それぞれのダムの標高は異なり、八汐ダムは1052.5m、蛇尾川ダムは703mと高低差がある。

蛇尾川ダム 場所・栃木県那須塩原市/管理・東京電力 ©️宮島咲

 水力発電をおこなう時は、八汐ダムから蛇尾川ダムへ水圧鉄管を使って水を落とし、途中の発電所で電気を作る。その量は90万kWにもおよび、原子力発電所1基分に相当する。

 良く晴れた日中など、使いきれないほどの電気をソーラーパネルが生み出している時には、その余った電気を使い発電所の発電機を逆回転させて、蛇尾川ダムから八汐ダムへ水をくみ上げる。こうすることによって、電気を位置エネルギーに変換して蓄電しているのだ。

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 10年前におきた東日本大震災の時、原子力発電所が止まり関東圏の電気が足りなくなったことを覚えているだろうか。その時、このダムは電気を上手に運用するために大活躍したのだ。

蛇尾川ダムへのアクセスルートは閉ざされている ©️宮島咲

 なお、両ダムとも一般人立入禁止なので見学することはできないが、東京電力さんのご厚意で見学させていただいたことがある。これらの写真は、その時に撮らせていただいたものだ。