慣習や常識にとらわれない取り組みを
ポニーはホームの試合会場に連れていきました。実際に触れ合える形にしたので、すぐに子どもたちの人気者になり、その名前を募集すると予想を大幅に超える約500件もの応募がありました。3つの案に絞ったうえで、それぞれの名札をつけたニンジンを用意し、ポニー自身に選んでもらいました。そうして決まった名前は「ブロニー」。これは「ブロンコス+ポニー」という単純な言葉の足し算であるだけでなく、NBAのスタープレイヤー、レブロン・ジェームズ選手の長男の名前でもあります。
こういった新マスコット「ブロニー」も含め、慣習や常識にとらわれないブロンコスの取り組みは、実はさいたまのローカルニュースやローカル紙面で頻繁に取り上げていただいていました。全試合無料化の計画が(実現はしませんでしたが)大きな話題になったのはその一例です。予算をかけたマーケティングをやらない代わりに、コロナ関連ニュースだらけの世の中や地域に明るいニュースを発信し続けること。これを常に意識し続けていました。
地域のみなさんを「楽しませたい」という意識
要は、地域のみなさんを「楽しませたい」という一心で、良質な、でも非常識な取り組みをいくつも提供したのです。そうすることで、期待どおり古くからのファンの方々を超えた賛否両論を呼び、関心を集め、結果として地域の皆さんに伝わり始めました。
ベイスターズの初年度に起こした「波」と同じことが起きている、と感じました。
地域を意識した取り組みは、ニュース化だけではありません。実際に、地元密着を意識した施策を地道に続けてもいました。
埼玉県のさまざまな自治体――さいたま市、さいたま市教育委員会、春日部市、深谷市、伊奈町などと連携協定を締結し、地域とともに歩む姿勢を鮮明にし、さまざまなニュースを通じて発信し続けました(所沢市については、現在は観光大使で、協定の締結にむけて準備中)。
こうした活動を展開していくうちに、スポンサー営業も少しずつ実を結ぶようになりました。
前述の通り、ブロンコスのスポンサーになったとしても、試合会場で大々的に宣伝ができる状況はまだありません。
それでも地域の多くの企業がスポンサーになってくれたのは、いくつかの理由があります。