プロバスケットボールB3の2020-21シーズンも、残すところアウェイでのあと2試合となりました。新生さいたまブロンコスにとって、経営体制を刷新して初めてのシーズンでしたが、開幕16連敗という厳しい船出。後半戦はやや持ち直したものの、チームの成績は5勝33敗、最下位が確定しています。
ところが、私は全く落胆していません。
今シーズン、チームの成長も経営の成績も当初の計算以上の結果となり、むしろ非常に前向きな気持ちでシーズン最終盤を迎えているからです。
もちろん、単純にチームの成績面でいえば、改善すべき点はたくさんあります。ここについては来季に向けて着々と準備を進めていますが、何よりも嬉しいことは、チーム、経営ともに、着実に前進と成長ができたこと。
そのうえで来季、チーム強化と経営面、その両輪においてさらにステップアップができそうな期待感を、強く持つことができている。だからこその、前向きな気持ちなのです。
経営が黒字であることは最優先
まず、今季の最も端的な成果として、経営が黒字に転じたことが挙げられます。何をするにしても、経営が黒字であることが最も最優先かつ大切です。
前体制下において膨らんだ億単位の借金を抱えたなかでのスタート。しかも新体制が発足した早々にコロナ禍に見舞われました。
当初は「いきなりこんな状況になってしまうなんて池田さんも不運だね」「コロナじゃなかったら池田さんに期待できたのに……」「池田さんもババひいたね」といった、悲観的な声が多く聞こえてきました。
そもそもブロンコスは、B3の中でも「バスケ界の3大悪」と喧伝されていたほど、チームの経営状態が芳しくありませんでした。その悪い評判が部外者だった私のところにも届くほど、さまざまな負が顕在化していたクラブの経営を立て直し、チームを強化し、新たなファンを獲得することはそう容易なことではありません。
コロナ禍がなかったとしても、周囲から“上がり目”がないような、“ババ”に見えたとしても何ら不思議ではなかった、と思っています。
実際、最初のころは、会社の通帳とにらめっこする日々が続きました。「この支払い、ちゃんとできるんだろうか」と、選手の年俸や月々の経費の支払いを乗り切るのに四苦八苦。ヒヤヒヤで胆を冷やす毎日を数ヶ月間過ごしていました。
それでも、初年度に黒字転換を果たせたのはなぜか。
最大の理由は、全てにおいて「ミニマム」に徹したことでした。