「生活が厳しいだろうから」とお客さんからの毎月援助が
1年どころか数年は食うに困らない貯金があったものの、彼女はそれを取り崩そうとは思わなかった。
「昔から私は、ものすごいケチで、貯金を1円でも取り崩したくないんです。たかが500円のサンダルを買うか悩んで、買わないこともあります。それに風俗の仕事はいつまでもできる仕事ではありませんし、一寸先は闇だと思うんです。すぐに昼のアルバイトをすることにしたんです。名前は出せないんですけど、日本人なら誰もが知っている公共施設の誘導係を週に3日やって、月に10万円もらっていました」
「その額だと生活は厳しいですよね?」
「そうですね。月の家賃ぐらいにしかなりませんからね。ソープ嬢の知り合いの中には、持続化給付金の不正受給をしている人もいました。私にも、30万円が申告の手数料で70万円が入るという話がまわってきましたけど、それは簡単にバレるだろうと思ったので、さすがにやりませんでした。店を辞めてから、しばらくして生活が厳しいだろうと、有難いことに援助してくれるお客さんが現れたんです。東京から車で2時間ほど離れた街に住んでいる方で、何年も週に1度は通って来てくれていた人でした。今も月に30万円援助してくれているんです。貯金のことはもちろん一言も言ってません」
「それはかなりの金額ですね」
「そのお客さんからは、もう仕事には復帰しないで、普通に生活して欲しいと言われました。ソープをやめてから、誘導係の仕事と彼からの送金で生活をしていたんですが、昨年の末にコロナが増えて施設が休みになってしまったので、このままではまずいなと思って、彼には申し訳ないですが、年末から黙って(ソープに)復帰することにしたんです」
「お客さんが急にイソジンを自分で用意して尿道に…」
「30万円だけでも生活は何とかなりますよね?」
「彼は既婚者で、結婚を迫ってきたりすることはないのですが、彼に頼りきりになるというのが嫌なんです。それと、母子家庭ですし、いつまでもやれる仕事ではないので、少しでも多く稼いで貯金したいという思いがある。それで、新規のお客さんを取らず、店のホームページにも載せないで、彼以外のお客さんの予約だけを取って、働きはじめました」
このコロナ禍にも関わらず、通ってくる客に変化はあるのだろうか。