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遠くない未来に、新しい特急時代がきっとくる

 東武鉄道は2017年5月に発表した「東武グループ中期経営計画2017~2020」において、「2020年度にフラッグシップ特急導入に着手し、2021年度に運行開始」と掲げた。日光、鬼怒川、今市に200億円を投資し、単年度収支を80億円から倍増させる目論見だ。そのなかで今市エリア向け投資としてフラッグシップ特急がある。下今市と鬼怒川温泉を結ぶSL「大樹」との連携を念頭に置いたと思われる。

 東武鉄道は2017年から新型特急車両500系「Revaty(リバティ)」を運行している。それがある前提で「フラッグシップ特急」の計画がある。「スペーシアに代わる列車の誕生」を予感させる。

2017年から運行が始まった東武鉄道の特急「Revaty」(500系) ©iStock.com

 さらに、「特急列車の地下鉄乗り入れ検討」も記された。東京メトロ半蔵門線、日比谷線内に直通できると、東京駅付近の大手町、渋谷、銀座、六本木、恵比寿から乗り換えなしで日光方面に行ける。その先の東急東横線、田園都市線乗り入れも視野に入る。

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 そんな夢のある話だったけれど、この中期計画はCOVID-19感染拡大の前に作られたもの。現在の経営状況は大きく異なる。2020年7月、東武鉄道は「中期経営計画 2017~2020」を2019年度で終了すると発表した。つまり、2020年度着手予定のフラッグシップ特急計画は白紙となった。

 2021年4月に発表された「2021年度事業計画」では、500系6編成を追加導入するとされた。これはスペーシアの代替というより、もっと古い200系と300系と置き換えられるとみられる。200系は新造車のほかに1700系、1720系の改造車がある。300系は1969年から1974年までに製造された1800系の改造車で、これもかなり古い。

東武鉄道の200系特急車両 ©杉山淳一

 スペーシアは復刻塗装で延命されたともいえる。しかし、いずれは寿命を迎え、新しい「フラッグシップ特急」と交代するだろう。その時はJR東日本も新しい車両を同時にデビューさせてほしい。かつて小田急とJR東海は御殿場線直通運転用に20000形ロマンスカーと371系特急電車を同時にデビューさせた。あれは楽しかった。

 JR新宿~東武日光間の新しい特急時代はきっとくる。そんなに遠い話ではない。