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《写真多数》「なんだあれは!?」のどかな街にそびえる異様な豪奢ホテル“川久”に泊まってみると…

2021/06/18

genre : ライフ, , 娯楽

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 一番目につくオレンジ色の瓦は「瑠璃瓦」というもので、中国北京の紫禁城と同じもの。かつて皇帝以外使うことが許されなかった老中黄という色を、47万枚使用している。

中国北京の紫禁城にも使われている瑠璃瓦

 入り口の庇は高知城にも使われた土佐漆喰仕上げ。塗り継ぎができないように50人の左官職人が24時間3交代で一気に仕上げたという。

高知城にも使用された土佐漆喰仕上げのひさし

 ホテルのマスコットのように一際目立つウサギのブロンズ像は、彫刻家バリー・フラナガン氏が川久のために制作した、世界最大の特注品。

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バリー・フラナガン氏に特注したブロンズ製のうさぎ

 外壁のレンガはイギリスのIBSTOCK社にデザインを依頼し、使用されたレンガは73種類140万ピース、3500トン。施工には最盛期で約80人もの職人が作業した。

73種類140万ピース、3500トンのレンガで作られた外壁

 一番の見どころはやはりロビーである。

 黄金に輝く天井は、フランスの人間国宝、ロベール・ゴアール氏が5センチ角のドイツ製金箔を1枚ずつ手作業で貼り付けたというもの。その枚数、約19万枚にものぼる。想像しただけで気の遠くなる作業だ。

 金箔天井は、金箔押しされた最大表面積として、ギネス世界記録にも認定された。

 金箔の純度は22.5金。これは陽に当たるときもっとも美しくロビーを照らすように計算されているという。

金箔天井。フランスの人間国宝ロベール・ゴアール氏が1枚1枚手作業で貼り付けたもの

 足元に広がるのはローマンモザイクタイル。1センチ角のモザイクを、イタリアのモザイク職人集団が1枚ずつ手作業で床にはめ込んだもの。

イタリアのモザイク職人が1枚ずつ手作業で床にはめ込んだローマンモザイクタイル

 ロビーに置かれたピアノは最高級で有名な、スタインウェイ&サンズ社のハンブルク製特注品。

スタインウェイ&サンズ社のハンブルク製特注ピアノ

 ピアノの奥に並べられている、奇抜なデザインの衣装は、ホテル川久創業当時の従業員の制服だ。ひと目で記憶に残る印象的なデザインは、川久を訪れることは、夢の世界に入るということを演出していたのではないだろうか。

ホテル川久開業当時に着られていた従業員の制服
川久一番の見どころ、黄金に輝くロビー

 ロビーに並ぶ、青く美しい巨大な柱は、左官職人がホテル川久建設のためにドイツへ渡って習得してきた、人の手で大理石の模様を作る技術「シュトックマルモ技法」で仕上げたもの。柱1本1億円だという。