ドラッグストアで扱ってもらう事で得られた認知度
――発売直後から爆発的ヒットとなったTENGAですが、そこからさらに現在のような認知度を得たのは、何か大きな要因があったのでしょうか?
松本 タレントさんが面白くネタにしてくれたり、メディアで取り扱っていただく機会も増えて、さらに2014年頃からドラッグストアで扱ってもらえるようになったのが大きな変化ですね。TENGAはアダルトショップから始まって、次に大手通販サイトや人気のバラエティショップ、ヴィレッジヴァンガードさんでも扱われるようになったんです。
ドラッグストアも、最初は置いてもらうハードルがとても高かったんですが、実際になんとか置いてもらってみて、そこで反響があって広がっていった感じですね。やっぱりドラッグストアは店舗数が圧倒的に多いですし、そういった一般のお店に置いてもらえることでだいぶ印象がかわったように思います。
女性向けのマーケットにも少しずつ変化
――TENGAでは女性向けのセルフプレジャーアイテムであるirohaも出しています。女性向けのそういった商品は、日本ではTENGAほどは認知度が高くないように思えるのですが、その点についてどう感じていますか?
松本 日本では女性が性的なものを求めるのを、あまり「良し」としない文化がありますよね。でもヨーロッパやアメリカでは、実はセルフプレジャーアイテムは男性用のものよりも女性用のものが多いんです。そこが日本と異なる部分だと思います。
irohaブランドも、TENGAと同じように最初はアダルトショップからはじめましたが、ここ数年でバラエティショップやドラッグストアでの取り扱いがどんどん増えています。そういったお店では、最初からプレジャーアイテムを置いて貰おうとはせずに、まずは販売しやすいデリケートゾーン用のソープなどのアイテムを置いてもらったんです。そこから、iroha本体も置いて貰えるようになってきました。
――女性向けのマーケットもコロナ禍で変化がありましたか?
松本 確かにこの1、2年で変わってきましたね。特にコロナ禍になって女性のセルフプレジャーに対する受け取り方が変わってきたと思います。女性向けのプレジャーアイテムが一般の雑誌に取り上げられたり、ヨガの専門誌で紹介されたりと、マスターベーションがセルフケアに有効であるということがようやく広く認知されるようになってきた。irohaのことを取り上げてくれる一般メディアも増えたし、フェムテックの意識も高くなっていると思います。