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 これが会社員のひとつの成功モデルであり、とりわけエリートではなくても、中流であれば思い描ける現実的な目標だった。それは若い世代が増えていたため、中古マンション に絶えずニーズがあったからだ。しかし、バブル経済の崩壊もあって、住宅双六でアガリまで到達できたのは、団塊の世代あたりまでがギリギリだろう。「マンション総合調査結果」(国交省、2018年度)を見ると、住宅双六とまったく違うデータが並んでいる。「永住派」が62.8%、「住み替え派」が17.1%と、圧倒的に「永住派」が多数になっているのだ。1993年度の調査では、「永住派」が31.0%、「住み替え派」が41.1%と、マンションは住み替えるものという意識がまだ強かった。

 ところが、その6年後には「永住派」が逆転し、以後「永住派」が増え続けてきたのである。

 これはマンション入居者の高齢化が進んでいることに起因すると考えられる。同調査結果を見ると、前回調査(2013年度)より70歳以上の世帯主は18.9%から22.2%に増え、60歳代(27.0%)と合わせて49.2%と、ほぼ半数を占めている。30歳代(6.6%)と40歳代(18.9%)を合わせても25.5%にしかならないのである。

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2回目の大規模修繕というリスク

 マンションに永住する上での最大のリスクは、 大規模修繕である。国交省のガイドラインによると長期修繕計画は12年程度とされているが、実際には15年ごとに大規模修繕を行うことが多いようだ。

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 1回目は外壁補修工事や防水工事などだけで済むが、築30年を迎えるころの2回目から費用が大きくかさむ。エレベーターや機械式駐車場の設備更新や配管の入れ替えなどが必要となってくるからだ。

 1回目は修繕積立金で賄えても、2回目には費用が足りずに追加一時金を要求されることも多い。築30年たった頃ともなれば、多くの入居者は定年前後だろう。収入が少なくなったところに、50万円から100万円の追加一時金の支払いを求められて、管理組合で紛糾する例はけっして珍しくない。