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 その理由は世代交代がうまく進まなかったからである。住民たちの多くは、かつての子育て世代から高齢者となり、子どもたちは巣立っていった。そのため駅前の商店街も閑散とし、一時期は閉店するところが相次いだ。駅まで行くには路線バスを使うのだが、本数が徐々に減っていき、将来的には路線がなくなることも危惧される。

 こう考えてみると、“終の棲家”を選ぶということは、「都心か、郊外か」「戸建てか、 マンションか」という物件や居住空間の問題ではなく、その物件を取り巻く環境やそこに住んでいる人々とのつながりを選ぶことのほうが重要なのである。

 通勤に便利で駅に近いところがいいと思っても、そのベネフィットを享受できるのは定年までだ。自分自身も、街づくりにコミットしていけるような地域を選びたい。

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“終の棲家”は 一戸建てか、マンションか?

 

マンションなら賃貸で、買うなら一戸建てがベター。タワマンは超危険

マンション住民は「住み替え派」から「永住派」に逆転

かつての「住宅双六」

  住み続ける場所を選ぶ基準は「一戸建てか、マンションか」という物件の問題ではないと先に述べたが、高齢者が増えて若い世代ほど減っていく時代において、区分所有の共有財産を持つことのリスクは、きちんと理解していたほうがいい。つまり、分譲マンションを買うのは、これからの時代において相当の覚悟を必要とする。

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 人口が増えていた高度成長期のように「住宅双六」を謳歌できた時代であれば、その選択もありえた。

 フリダシは結婚して小さなアパートを借り、子どもが生まれるころには少し広めの賃貸マンションに移る。やがて分譲マンションを購入して、何年後かに値上がりしたところで売却。その差額を頭金にして、郊外に庭と駐車場のついた一戸建てを構えてアガリとなる。