文春オンライン

「“終の棲家”は吉祥寺?多摩ニュータウン?」「買うなら一戸建て?マンション?」知っておくべきアフターコロナの“住環境”

『コロナ後を生きる逆転戦略 縮小ニッポンで勝つための30カ条』より#1

2021/06/29

source : 文春新書

genre : ライフ, 人生相談, ライフスタイル

note

【結論】マンションか一戸建てか――

 さらに都心部のタワマンには特殊事情もある。それは階層による“格差”が存在することだ。高層階にいくほど部屋面積が広くなり高価格に設定されるため、購入するのは超富裕層や外国人投資家が主となる。逆に低層階は住宅ローンを設定して買った会社員世帯が多いだろう。

 通常のマンションであれば、収入や資産状況など似たりよったりの住民が集まるが、タワマンは千差万別。会社員世帯であっても20年後、30年後となれば、勤務先の違いや出世の状況によって収入に差が生じてくる。そこに追加の修繕費用がかかるとなれば、管理組合で住民たちの合意を得るのは至難の業である。タワマンの営業マンは「戸数が500~1000と多いから1戸あたりの負担が少ない」とセールストークをするだろう。だが、戸数が増えれば、議論がそれだけ紛糾するということだ。

©iStock.com

 超富裕層は新しいところに住み替えるだろうし、外国人投資家はその前に売り抜けるだろう。残されるのは住宅ローンを払い終えていない高齢者だけということにもなりかねない。ローンを完済していたとしても、高齢期になってから追加修繕費用の負担は重い。長い老後を「戦略的に縮む」ことで乗り切ることが求められているのに、むしろ老後の蓄えが減ってしまい生活設計が狂いかねない。

ADVERTISEMENT

 マンションか一戸建てか――。これは永遠のテーマだが、マンションに住みたいのであれば、賃貸にしたほうが良いと私は思っている。どうしても持ち家がほしいのであれば、一戸建てをお勧めする。一戸建ても修繕が必要だが、自分の収入に応じて手当すればいい。

 新築にこだわらなければ、固定資産税も安く済むし、これからは首都圏の交通の便の良いところでもお買い得の物件が数多く出てくるはずだ。

「“終の棲家”は吉祥寺?多摩ニュータウン?」「買うなら一戸建て?マンション?」知っておくべきアフターコロナの“住環境”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春新書をフォロー