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 雅子妃はその間の6月に「適応障害」の診断を受け、長期間の療養生活に入った。こうして、皇太子夫妻の公務や一家の様子がなかなか表に出てこないなか、秋篠宮夫妻の公務、一家の様子が相対的に目立つようになっていく。

眞子さまと佳子さまの意思を尊重した「ICUご入学」

 また、インターネットの発達によって、皇族に対する新しい受容が出てくる。2005年ごろから、中学生・高校生の眞子内親王を模した「萌え系イラスト」がネット上に数多く出てくるようになり、「ひれ伏せ平民どもっ!」とのニコニコ動画もアップロードされるようになる。このように、「眞子様萌え」と呼ばれるような現象が相次いだ。その後、佳子内親王も「麗しの佳子さま」などと呼ばれ、そのビジュアルがネット上で注目を浴びるなど、サブカルチャー的な扱いで秋篠宮家の女性皇族2人の話題が取りあげられることが増えた(茂木謙之介『表象天皇制論講義』白澤社、2019年)。

 これまでの皇族の進学先である学習院ではなく国際基督教大学(ICU)への2人の入学(特に佳子内親王は学習院大学を中退しての再入学)は、国際化社会に対応した、しかも本人たちの意思を尊重した選択として、評価されていた。

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2020年、眞子さまお誕生日に際してのご近影。“自撮り”をなさる眞子さまと佳子さま 宮内庁提供

 秋篠宮家に対する世間の目はやさしい一方で、宗教学者の山折哲雄が「皇太子殿下、ご退位なさいませ」(「新潮45」2013年3月号)という文章を発表したように、皇太子夫妻に対する世間の眼は厳しかった。記者会見における秋篠宮の自由な発言と皇太子の文章を読み上げる態度も、対比的に捉えられた。

2018年11月、「第42回全国育樹祭」の「お手入れ行事」に臨まれた ©JMPA

 ところが、2016年の平成の明仁天皇による「おことば」が契機となって、この状況に変化が訪れる。メディアは次第に、次の天皇・皇后になる皇太子と皇太子妃に関する話題を数多く報じるようになる。「代替わり」までにしばらくの時間があったことで、こうした報道が継続し、皇太子の水問題への取り組み、皇太子妃と東日本大震災被災者との交流などのエピソードが繰り返し報じられ、次第に皇太子夫妻の存在が人々に知らしめられ、そのプレゼンスもあがっていく。