文春オンライン

まるで『湾岸ミッドナイト』の世界!! 半世紀前のスポーツカー「フェアレディZ」を蘇らせる“恐るべき技術”とは

2021/07/18

genre : ライフ, 社会

note

「キャブ車」の魅力

「旧車は天候によってエンジンの調子が悪くなる」といった話を、創作などで目にしたことはないだろうか。「キャブ車」と呼ばれる車のエンジン始動やアイドリングが安定しない主な原因として、燃料の濃さがうまく調整されていないことがある。

 ガソリンは液体のままでは燃えにくいため、空気と混ぜてエンジンに送り込む必要がある。現在、このプロセスは「インジェクション」と呼ばれる装置を通じて電子的に制御されているが、かつての車は「キャブレター」によって機械制御されていた。

キャブ車の象徴である「ファンネル」。ラッパのような部分から、エンジンに混ぜるための空気を取り込む 写真=坂口尚

 エンジンが吹け上がる感覚や、混合気の濃度を手作業で調整できる整備性など、「車との対話」を楽しめる点がキャブ車の魅力として挙げられる。自分自身の手で「車の機嫌を取っている」かのような感覚が、所有するうえでの喜びを高めるというわけだ。

ADVERTISEMENT

「乗りやすいキャブ車」へのこだわり

 キャブ車を所有するうえでの「苦労話」は、特定のオーナーにとってはかえって価値となりうるが、一方で「いつでもスムーズにエンジンが稼働し、思いのままに加減速できる」ようなキャブ車も魅力的である。「乗りやすいキャブ車」であればそれだけ、エンジンの快活な吹け上がりやサウンドを存分に楽しむことができるだろう。

 スターロードが重視するのは、このような「扱いやすさ」である。

エンジンの回転を電気エネルギーに変換するオルタネーター。電圧を安定させつつ、エンジンのパワーロスを防げるよう、抵抗を低くしたタイプを独自に開発した 写真=坂口尚

「ウチで作った車は扱いが難しいとか全然ないよ。初心者でも乗れるキャブ車ってことで、インジェクションに近いレベルの乗りやすさにしてる」

「乗りにくさ」につながる要素を潰すべく、燃調のセッティングを詰めたうえで、テストとして「高いギアかつ低回転からのフルスロットル」など、負荷の高い状況にも対応しうるかを見極める。