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諸説ある「被害額」は結局いくらだった?

〇「被害額は100万円~900万円だった」(諸説あり、平均500万円程度)

「その後、新日本プロレスに請求書を出したんです。金額ははっきりと覚えていないのですが、間違いなく100万円もしないです。数十万円だったと記憶しています。そうしたら、向こうから『こんなに少ないはずはない。もっとかかっただろうから請求書を出しなおしてくれ』と言われたんです。良心的な対応をしてくれるんだな、と思いましたね。少し上乗せしてもう一度出しましたが、それでも100万円までいってません。後日きちんと払っていただきました」(健児さん)

「掃除は私たち従業員で全部やりましたから、お金はそんなにかかってないです。水が詰まったのも自分たちで直しました。ただ、借りてきた焼肉の台とかは、壊されたままお返しできないですし、あとはおそらく畳の交換とかね。900万円なんて、絶対にないです」(里美さん)

〇「旅館買い取りなら8000万円だと女将が言った」(古舘)

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「言うわけないですよ。もし8000万円で買ってくれるなら、借金も全部返して、私らいまごろ悠々自適ですよ、ハハハ…。旅館をやめたあと、物件はすでに売却しましたが、タダのような値段でしたから」(健児さん)

「二度と来ないで下さい」と言ったのか?

〇「翌朝、旅館の女将に“二度と来ないで下さい”と言われた」(多数)

「少なくとも私たちは言いませんし、私の母もそのような失礼なことは言ってないと思います。心のなかではどう思っていたか分かりませんが…(笑)。何があろうとお客さんですから。翌朝は普通に朝ごはんも用意したと思いますよ。亡くなった父や母からも、その後、新日本プロレスに対する恨みつらみをきいたこともありません」(健児さん)

「旅館は破壊され、廃業を余儀なくされた」は事実?

〇「破壊された旅館はその後、廃業を余儀なくされた」(多数)

「その後も20年近く営業しました。廃業した理由は、観光客の減少もありましたけれども、施設の老朽化ですね。古い旅館でエレベーターもなかったですし、新しい時代に対応できなくなりました」(健児さん)

 結論を言えば、さまざまなレスラーや関係者が、不正確な話を30年以上、際限なく膨らませ続けた結果、小魚が鯨を飲むような「旅館破壊伝説」が構築されていったものと思われる。もちろん旅館に一定の被害はあったが、宿が再建不能になるような暴動はなかった。それが真実だ。