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好きな作家は夏目漱石や内田百閒、泉鏡花、ゼーバルト…
なるほど、ではもし「趣味は」と聞かれたら、やはり鑑賞系のものということに?
「そうですね、美術館に行ったり映画を観たりは大好きですし、あとはやっぱり読書ということになるんでしょう。好きな作家ですか? これは無数に挙げられてしまうんですが、今作で記憶と過去、幻想と現実といったことをテーマにした関係でいえば、夏目漱石や内田百閒、泉鏡花、ゼーバルト、ボルヘス、ヴァージニア・ウルフ、タブッキ……。こう考えていくと、やっぱり読書以外の趣味にはなかなか手が回らなそうです。気づけばコロナ禍になって以来、以前にも増して活動範囲が狭くなっていて、読書と研究、あとは書くこと以外何もしてないと気づきました」
受賞の報せを受け取ったあとも、やっぱり特別なことはほとんどしていないという。気分の高揚はあるにせよ、派手にお祝いをしたりどこかへ出かけたりといったことは、なし。
「そうでした、受賞のお電話を受けて中断していた本棚の整理だけは、あれこれ考えながらちゃんと終わらせておきました」
ドイツの小さい町の落ち着いた環境のなか、石沢さんは受賞の意味を噛み締めつつも自分自身の時を過ごしている。