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東京から“いちばん遠い新幹線の終着駅”「博多」には何がある? なぜ駅名が「福岡」じゃないの?

2021/07/19

genre : ライフ, 歴史, , 社会

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JR在来線の博多駅、実は乗り入れる路線が2つしかない

 博多駅は山陽新幹線がJR西日本、在来線がJR九州と会社が2社に分かれている。東京駅も東海道新幹線はJR東海で在来線はJR東日本、京都駅も新幹線はJR東海で在来線はJR西日本だから、こうした棲み分けはさして珍しいことではない。

 一方で、JR在来線の博多駅、乗り入れている路線はざっと2つしかない。鹿児島本線と福北ゆたか線だ。ただ規模は大きい。ホームは1~8番のりばまであって、鹿児島本線はほとんどひっきりなしにやってきてはすぐに出て行く。

 圧倒的な存在感を放つのが、東京ではほとんど見られない特急列車である。在来線の博多駅は、いわば特急列車のターミナルといっていい。長崎方面にむかう「かもめ」、佐世保の「みどり」「ハウステンボス」、大分を目指す「ソニック」。このあたりが代表的な列車で、ほかには湯布院の温泉街にゆく「ゆふいんの森」などがある。

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 とりわけ「かもめ」「みどり」「ソニック」は運転本数も多い。数えたことがあるわけではないので断言はできないが、在来線特急列車の発着数で言えば、博多駅は日本一なのではなかろうか。新幹線に押されていまや脇役になってしまった在来線の特急列車が、ここ博多駅では新幹線以上に主役面をしているのだ。

 

博多駅から空港までは10分とかからない

 そんな特急列車が我が物顔の在来線博多駅(つまりJR九州の博多駅)から地下に潜ると、今度は地下鉄が待っている。博多駅に通っているのは福岡市地下鉄空港線。空港線の名の通り、福岡空港へのアクセス路線にもなっていて、博多駅から空港までは10分とかからない。九州の陸の玄関口と空の玄関口は、ほとんど隣り合っているといっていいのである。

福岡市地下鉄空港線の「博多」

 この地下鉄の役割はそれだけではない。空港とは反対側に向かう列車に乗れば、中洲や天神という福岡市の中心市街地を目指す。市街地などという言葉でマスキングしなくても、つまりは大歓楽街や屋台のラーメンが目当てなら地下鉄に乗り換えろ、というわけだ。

 天神も過ぎてしばらくいけば、百獣の王・若鷹軍団の本拠地・PayPayドームもある。で、さらにずーっと行けば地下鉄からJR筑肥線に直通し、呼子のイカでおなじみの唐津まで。唐津は佐賀県なのでもうそれはだいぶ行き過ぎなのだが、いずれにしても地下鉄空港線のパワーも、なかなか計り知れないものがあるのだ。