4つ目の流行は、“おまけつき”や“キャラクターコラボ品”です。子供用の目薬にキャラクターがつくことは昔からありましたが（私が小さい頃はドラゴンボールの目薬のテレビCMがありました）、最近の目薬は大人を狙ったコラボ品が続々登場しています。ワンピース、北斗の拳、ガンダム、刀剣乱舞、セーラームーン……特に、ドラゴンクエストのキャラクターを起用した「スライム目薬」は品切れ店が続出し、“スライム目薬難民”が出ました。メーカーによると、このような付加価値商品は「今まで目薬を使ったことのない方に、興味を持っていただく」という市場の拡大を狙った戦略のようです。
防腐剤入りは本当に目に悪いのか
「防腐剤の入っていない目薬はどれですか？」──これは、目薬売り場でよく聞かれる質問です。一部の目薬はパッケージにも「防腐剤不使用」と謳（うた）っており、これが売りになっていることが分かります。ここでいう防腐剤とは、具体的には【塩化ベンザルコニウム】を指し、入っていても基本的に大きな問題にはならないのですが、塩化ベンザルコニウムは角膜を傷つけるという報告があるため、気になる方がいるようです。
そこで最近では、塩化ベンザルコニウムを使わずに商品の品質を保つことを訴求する目薬が出ています。例えば「スマイル」シリーズの「防腐剤無添加」と書かれた目薬では、目薬の緩衝剤等として使われている成分の組み合わせによって防腐効果を持たせており、開封後1～2ヶ月程持ちます。また、2019年に発売された「ノアールCL」は、【亜塩素酸ナトリウム】を保存剤として市販の目薬に初めて採用しました。この成分は、点眼すると速やかに涙と同じ成分に分解されるので、効果と安全性を両立する成分だと考えられています。
薬はあくまで成分で選ぶもの。しかし、「最近のトレンドや新商品を教えてください」と薬剤師・医薬品登録販売者に聞いてみることで、より主体的に市販薬と向き合うことができるかもしれません。
引用文献
大幸薬品ウェブサイト「正露丸・セイロガン糖衣Aの主成分木クレオソートの誤解」
大幸薬品 ニュースリリース 2011.11
ライオン ウェブサイト「『スマイル40プレミアム』開発STORY」
「Efficacy and safety of retinol palmitate ophthalmic solution in the treatment of dry eye: a Japanese Phase II clinical trial」2017 （PMID: 28694687
「点眼薬含有塩化ベンザルコニウムの角膜上皮に対する影響」『薬学雑誌』2021.Vol.141 No.1
ライオン ニュースリリース 2020.2.12
佐藤製薬 ニュースリリース 2019.4.10
