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「一晩中、ウーウー泣いてましたね」

佳子 でも、それっきりあの子もボクシングのことを一切言わなくなったので、私は赤井にキツく言い聞かせたんです。「どうなるかわからないから、絶対に誰にも話しちゃ駄目よ」って。

――でも当時、わりと大きなニュースになってましたよね? 「赤井英和の長男リオ目指す」と。

佳子 そうなんですよ! 何かの記者会見の席で、赤井がうっかり口を滑らせてしまって。ちょうどその頃、タレントのしずちゃんがオリンピックを目指すというのが話題になっていて、赤井にも質問がたくさんあったんです。そこであまりにも「しずちゃん、しずちゃん」言われるものだから、誰も聞いてないのに突然、「わしの息子、オリンピック目指すねん!」と口走ったんです。当の息子はまだボクシングを始めてもいないのに。

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赤井 ハハハ(笑)。

©深野未季/文藝春秋

佳子 案の定、こんなご時世だからすぐにネットニュースで拡散しちゃって、本人のところには友達から「頑張ってね」とか「おめでとう」みたいなメールが殺到したそうですよ。さすがに私も頭に来て、そこに座らせて「なんで言ったの?」と問い詰めたんです。本人がせっかくやりたいことを見つけて、それに対して真剣に悩んでいるときに、なんてことをしてくれたんだと。

赤井 新聞にもでかでかと載ってもうて。それはもう、ウンコちびりそうになるくらい怒られました。

佳子 そう。「なんで約束守れないのよ!」と怒鳴ったら、「ごめんなさい、ごめんなさい」って赤井がわんわん泣いて。それでもこっちは怒りが収まらないから、「そんな泣いて謝ったって、もう時間は戻せないんだから!」と。その日は一晩中、ウーウー泣いてましたね(笑)。

――現役時代からは想像もつかない姿ですね(笑)。

佳子 よくあるじゃないですか、小学生が泣いて泣いて止まらなくなるやつ。いい歳して、それがまた許せなくて。