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MCや紅白司会もやった内村光良がそれでも上を目指すワケ「どうやったらもっと売れるか、毎日悩んでいる」「ロケ空き時間は休憩せずに物書きを…」

『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』より#2

2021/09/07
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「もう1回いいですか?」

「はたして自分はやると決めたことに一生懸命取り組んだかと、自分自身に問いかけているように感じます。内村さんはきっと、失敗という結果が出ても、『自分がどれだけできるか』っていうことも楽しみにして物事に取りくんでいるんでしょうね」

 有り体に言えば、結果より過程を重視している、ということだろうが内村の場合はそれ とも違う。彼は、純粋に誰よりも自分が「自分の限界」を見たいのではないか。

 自分の目標を自分で設定できる人間は強い。他己評価ではなく、自己の求める笑いに近づくために、自分自身を追い込み続けられる“ド人間”内村は、まさに自己成長因子の塊のような存在だ。

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 しかもそれが仕事のみに限定されるのではなく、プライベートでも同様なのだと、内村とたまたま同じジムに通っているという女優・木村多江氏は驚く。

「トレーナーさんが教えてくれたのが『そろそろ終わりにしましょうか?』と言うと、 必ず『そうですね、じゃあ、あと1回』と言うらしいんです。終わりにしましょう、 と言われてもそこで素直に終わりにしない。ベンチプレスでもなんでも、苦しくても プラスしたいと、もう一声頑張る貪欲さがすごいですよね。私は言われたら、はい、って、終わりにしちゃうんですけど(笑)」

©iStock.com

 大きな目標を掲げ、その実現のために自らを追い込むことができるのは、日々の小さなことでさえ「もう1回」の意識を持って努力し続ける、その姿勢があってこそなのかもしれない。日常でついつい自分を甘やかす癖がついてしまっていては、大事な局面において「もう1回」と粘ることはできないだろう。

 この「自らがドMで居続けられるか否か」は、あなたが良きリーダーとして成長できる か否かの大きな分かれ道となる。「自分に満足をしない」と言ってしまえば簡単なことであるが、リーダーはそのスタンスをいかに長く続けられるかが求められる。

「もう1回いいですか?」

 まずはこの口癖を真似るところから、マインドセットをぜひ始めてみたい。

 そしてこの「自らがドMである」というマインド姿勢は、次の項で後述するもう一つのキーワードと表裏一体の関係になっている。