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自らに「ドS」である

「自らがドMである」と同時に、よきリーダーには「自らにドSである」ことが求められると筆者は考える。

 この両マインドは「表裏一体」の関係であり、自己成長の好循環を生み出すために不可欠な要素だ。

「もう1回いいですか?」と並ぶ内村の口癖が、「俺はまだまだなあ」というセリフだ。彼は、誰かの才能や努力を目にするたび、「俺はまだまだ」と口にする。例えば、自分が思いつかなかったようなネタをやる若手芸人を見たとき、アイドルのすごいパフォーマンスを見たとき、同世代のさらなる活躍を見たとき、内村はポロッとそうつぶやく。自分の芸能界における今のポジションに関係なく、彼は未だにこんな言葉を発して周囲を驚かせる。

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 20代から内村のヘアメイクとして各種番組に関わる大の木ひで氏は、『内村さまぁ~ず』の収録中、若手芸人からの質問に対する内村の回答に、一瞬耳を疑ったという。

「若手芸人が、『内村さんはMCもやって紅白の司会もやって、悩みなんか何もないですよね?』と質問したんですね。そうしたら内村さんが、『どうやったらもっと売れるか、毎日悩んでいる』と即答したんです」

 どこから見ても内村はすでに“売れている”。だがさらに売れるにはどうしたらいいかに日々、頭を悩ませているという。

©iStock.com

 後輩芸人である塚地武雅氏も、そんな内村を横で見ていて、「内村さんはあのキャリアになっても全然満足していなくて、もっとウケたいとか、 これまでやったことがなくてウケるかどうかわからないことにチャレンジたい、という欲があるのを感じる」と言い、前出・飯山氏は、「自分で少しずつ、高跳びのバーを上げてっちゃうんですよね。ここを跳べたら、じゃあ上に行こう、で、どんどん上げて行く」と舌を巻く。

 伝説のバラエティ番組『ウリナリ』の演出を務め、内村といろんな企画で苦楽を共に してきた工藤浩之氏は、そんな内村を、『ひとりSM』をしているようなもの、と指摘する。

「『ウリナリ』のドーバー海峡横断とかもそうですが、昔から自分で立てた目標のために自らを追い込むのが好きなんでしょうね」