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メンタリストDaiGo炎上に見る迷惑系ユーチューバーの「ビジネスモデル」という煉獄

2021/08/19
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メンタリストDaiGoが犯した失言を機に

 そういうときに、手を差し伸べてくれる行政やNPOなどボランティアの人たちや地元の町内会、民生委員といった存在がどれだけ重要なセーフティネットになっているか知っておくべきですし、メンタリストDaiGoが犯した失言を機に、頭の隅にでもそういう現実はあるのだ、そしてそれは決して人生において無縁ではないのだ、ということは考えておいて良いと思うのです。

 そういう社会保障の歴史とは、それこそ産業革命が湧き起こる前の16世紀、イギリスなど当時の先進国で都市生活が一般化し始めると、集団就労する子どもたちが原始的で身勝手な資本主義の暴力によって命を落とす事件が続発しました。1531年に曲がりなりにも「救貧法」がイギリスで成立してから、500年近くかけて国民に広く政府が保証する「生存権」という概念から生活保護を含む「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を日本政府が憲法で認めている通りに何とか暮らしていけるようにしようというのが現代社会です。

 それを知ってか知らずか、友人である脳科学者の茂木健一郎さんの仲介でNPOに面談を申し込むなど、ちょっと理解しがたいムーブをメンタリストDaiGoが始めてしまいます。スキャンダルで潰れかけた芸能人が「お笑いウルトラクイズ」に出て小麦粉の池に落ち真っ白になったところでビートたけしにスリッパで殴られる場面を放送すれば禊になった時代とは違うわけですが。

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©️iStock.com

「迷惑系ユーチューバー」と「教祖ビジネス」の問題

 新たな信者を獲得するため、より過激なことを言ってエスカレートし、一線を越えてしまったのが本件だろうと考えると、この手の「迷惑系ユーチューバー」と「教祖ビジネス」の問題は、結局は「プラットフォーム事業者が違反報告をしっかり見て問題のあるコンテンツを流している連中はBAN(排除)」するしかないのだろうと思います。

 もちろん、政治的に意見の合う合わないでBANされたりすれば、トランプ政権末期のように「(YouTubeなどの)プラットフォーム事業者に、民主主義国内の言論・表現の自由が左右される社会であっていいのか」という深淵な問題に突き当たるのも事実ではあるのですが。

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メンタリストDaiGo炎上に見る迷惑系ユーチューバーの「ビジネスモデル」という煉獄

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