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実家を出ても「妹の学費、かかるからよぉ」と電話が…父に奨学金315万円を使いこまれた男性(33)が“貧乏”から得た「教訓」

AIクレジット・足澤憲さんインタビュー #2

2021/08/30

実家を出ても「妹の学費、かかるからよぉ」と電話が……

――奨学金を抜かれていたことは気付かないものの、大学時代は平穏に過ごしたと。

足澤 いや、家を離れたけど父の方から近づいてくるんですよ。結局、父にお金を貸すというか、あげるっていうのは、大学に入っても続いたのでしんどさは消えなかったですね。

「妹の高校の学費、ちょっとかかるからよぉ」みたいなことを電話で言ってくるんですよ。こっちは妹のことが心配だから、「じゃあ、ちょっと出すよ」みたいな(笑)。

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――それ、絶対に妹さんに使われないのがバレバレじゃないですか。

足澤 そうなんです。よくよく考えたら妹も授業料は免除ですし。だけど、そこで出さないと回り回って妹のお年玉やお小遣いをせびったりしますからね。

 そんな感じで、3か月に1回くらいの割合で電話が掛かってきて、多い時で5万円、少ない時で2、3万円を渡していましたかね。

 

――AIクレジットを設立する前、大学院を出てから就職されていますよね。給料をもらえる生活というのは、どう思いました?

足澤 めっちゃリッチになったと思いましたね。だからといって、浪費するということはなく。やっぱり父が反面教師だったので、ああいうふうにはならないぞと思っていたし、ならない自信もありましたから。

 もともと、なにかを買うにしても徹底的に比較するんですよ。シートとかにまとめて、「このぐらいの金額だと性能はこうで、だったら一番コスパがいいのはコレ」みたいな感じで。

 高校でパソコンを組み立ててた時もパーツを比べたし、小学生の時に母と買い物に行くときは前もってスーパーのチラシを比較して「ここだと安い」なんて調べて。ゲーム感覚で楽しかったんですよ。だから、そういった作業も苦じゃなかったし、無駄に高いものを買うことはなかったです。

 父といた環境も影響しているでしょうけど、もともとの性格もあるんじゃないですかね。

――奨学金は完済されたのですか?

足澤 使い込まれた315万のほうは、半年に19万円ずつ、年間38万円の返済で完済しました。残りは年間9万円で返していますが、あと数年で終わります。