文春オンライン

「もしかして彼女が噂の“おもてなし”担当?」ドイツ公共放送で働くマライさんが東京オリンピックで再確認した日本の不思議

マライ・メントラインさんインタビュー #2

note

――"おもてなし担当”の可能性はありそうですね。

マライ ただコロナ対策で人を減らそうとしてる時に必要かなとか、そういえばいつも若い女性だったなとか、いろいろ気になる存在でしたね。あとPCR検査で陽性が出たアスリートの隔離環境については、スポーツ部の記者たちは本当に怒っていましたね。

――窓も開けられないビジネスホテルでの隔離は日本メディアでも問題視されていました。

ADVERTISEMENT

マライ ドイツ人は妙に真面目なところがあって、競技がフェアに行われることをとても大事にします。隔離はもちろん必要ですが、ビジネスホテルの部屋から出られず揚げ物ばかりの食事を食べさせられる状況では、アスリートが100%のパフォーマンスを出せるとはとても思えません。IOCの偉い人が一泊100万円のスイートルームに泊まっているのと比べる形でドイツでも報道されていました。

ⒸJMPA

「日本って意外とワクチン打ってないのね」

――日本のコロナ対策はドイツからはどう見られているんでしょう。

マライ オリンピックの開幕前から「日本って意外とワクチン打ってないのね」というのは話題でしたね。これはドイツ人の悪いところなんですが(笑)、「世界中の先進国はだいたいドイツと同じようなシステムと考え方だよね。だってうちの国最高だし」とナチュラルに思っている人が多いんです。なので日本の対策の遅さには首を傾げる雰囲気がありましたね。

日本のコロナ対策には国内外から疑問の声も ⒸJMPA

――緊急事態宣言という言葉のニュアンスもなかなか伝わらなそうです。

マライ それも聞かれました。「結局なにが制限されてるの?」「特に何がダメというわけじゃないんだけど、気持ちが大事ってことよ」というやりとりを何度したか……。

――目に浮かびます(笑)。

マライ ドイツから来日したスタッフは、もちろん全員2回ワクチンを打って2週間の隔離が終わった後も、4日に1度PCR検査を受けています。一方で日本国内では、電車は満員だしレストランも混んでいる。日本の記者の中にはワクチン未接種の人も少なくない。なんかバランスが変だという感覚のスタッフも多かったみたいです。

関連記事