昔は東京近郊の町の商店街には製麺屋が必ずあった。そば、うどん、細うどん、きしめん、ひもかわ、中華麺、焼きそば麺などがガラスケースに並び、子供の頃それを見るだけでわくわくした。

 しかし、大型スーパーの登場により麺類の販売ルートは激変した。スーパーには大手製麺会社の商品が並び、平成令和と進むにつれていつしか町の製麺屋は消えていった。

栃木の製麺会社が東京に出店

 そんな中、今年8月16日、東京の大塚駅近くに1つの麺販売所がオープンした。「東京なまめん なかざわ製麺」である。

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駅ビルができて大きく再開発されたJR大塚駅

 中沢製麺は昭和29年栃木県栃木市に創業した中堅の製麺会社である。中沢製麺では職人の手作りによるこだわりの二度ぶかし焼きそば麺、中華麺やそば、うどん、生パスタなどを卸しやネット販売、本社工場店で直売し、地元で人気の製麺屋となっている。また、JR宇都宮線小山駅上りホームの人気駅そば「きそば」も運営している。コロナ禍のいま、栃木の製麺会社がなぜ大塚に出店したのか興味がある。その辺の事情を伺いに、開店初日、大塚の「東京なまめん なかざわ製麺」に行くことにした。店はJR大塚駅を南に出て2分ほどのわかりやすい立地にあった。

大塚駅から徒歩2分と便利な立地
生麺の販売店というカンバンがある、オシャレな店構え

 開店直後の午前10時10分頃に到着したのだが、すでに近所の方が店内に数名。通りかかった人もみな覗き込み、大いに関心があるようだ。その入り口でお客さんを誘導しているのが3代目社長の中澤健太さんだった。合間を見て出店に至った経緯などを聞いてみることにした。