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――コロナ禍のいま、なぜ東京に出店したのですか?

中澤:製麺所は通常、直売がなければ、お店に麺を卸すかスーパーに卸す以外販路はありません。弊社は都内のラーメン店などにも麺を卸していますが、コロナ禍で売上は打撃を受けています。ところがネットショップや栃木の工場直売店もそうですが、個人のお客さんが麺を買いに来る頻度がすごく上がっています。食は外食から自宅で食べる内食に変化しています。

 そんな中、仕事で都心に来るといい立地の空き店舗が増え続けていました。東京の町にはかつて製麺屋があったようですが、いまはほとんど目にしません。それなら、栃木の工場直売店のような形態の店をやれば、お客さんが買いに来てくれるのではないかと考えたわけです。

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 店に入るとガラス張りのショーケースに麺がずらっと並んでいる。麺の買い方は次のようである。まず店員さんとやり取りしながら好みの麺を選んでいく。そして左右に置いてある調味料やスープなどを選んで、店奥のレジで精算する。

3代目社長の中澤健太さんは熱い男だった

――ショーケースの中に麺がたくさん並んでいますが、これが「東京なまめん なかざわ製麺」のスタイルですね?

中澤:そうです。ショーケースに並んだたくさんの種類の麺を見て、お好みの麺を選んでもらいます。もちろん、ラーメンの自家製スープや焼豚、メンマ、焼きそばのソース、七味などの調味料もあります。そして自宅で手軽に食べていただくというスタイルです。

綺麗な店内に麺が入ったショーケースが並ぶ

――やはり、東京で栃木の味をアピールしたいですか?

中澤:それがどちらかというと「栃木」というイメージは前面に出さないつもりだったんです。名前も「東京なまめん」ですからね。でもやはり、出てきちゃいますよね(笑)。栃木の地粉などをつかった麺も用意しています。栃木の製麺屋が東京にやってきたということに注目してもらえればと思います。

 栃木色を出さないというコメントには驚いた。栃木県などの北関東は小麦粉やそば粉の生産も多く、東京への供給地として製麺が盛んな地域である。やはり、栃木県民が食べてきたおいしい麺や調味料を紹介していくのがいいと思う。