昔だったら海外に留学する必要のあった学びを提供してくれる「カーンアカデミー」のような世界のチャンネルで学べるのもYouTubeならではと言えるのではないでしょうか。(メインチャンネルは677万人フォロワー。2008年に設立され、世界的に文理を超えた講座を配信する教育系非営利団体)。
YouTubeを使って、「実際に受験に成功した」という学生も出てきています。受験勉強だけでなく、料理動画やDIY系のような日々の「学び」に関する動画も人気です。YouTubeが、人生100年時代における「図書館」のような、特定の世代に限定されず、時間や金銭的な余裕のない人に「学び」や「教育」を提供できる場所になれるのなら素晴らしいことだと思います。
災害報道、教育・学び、社会啓蒙――
YouTubeは「公平」なプラットフォームか?
――災害報道や選挙演説配信の場としてYouTubeが使用されるケースも増えてきました(7月3日に発生した静岡県・熱海での土砂崩れでは、静岡朝日テレビが現場のライブ中継をYouTubeを通じて行った)。YouTubeが「報道」や「教育」といった社会的役割を担いつつある状況をどう考えていますか。
仲條 「信頼できる情報を見つけやすくする」ことが大事だと思っています。災害報道の場合は、一刻でも早く必要としている情報を得たいというケースが多いはずです。そのときに手元のスマートフォンからいつも使っているプラットフォームで情報を知りたい、と思う人は多い。そのときに必要な情報をしっかりと届けていくことが、私たちの役割ではないでしょうか。
また、昨今、多くの人が新型コロナウイルス感染症に関連する情報の検索に YouTube を活用しています。そのため、感染症が広がり始めた当初から、YouTube は新型コロナウイルス感染症に関する信頼性の高い情報を見つけやすくしたり、誤った情報を取り除くことに全力を尽くしています。先日、河野太郎 行政改革・規制改革担当、ワクチン接種担当大臣と YouTube CEO スーザン ウォジスキのオンライン対談の様子をまとめたYouTube 動画でも本件におけるYouTubeの取り組みについて話し合いました。(参考:https://www.youtube.com/watch?v=Om7sx23ceLc&internalcountrycode=JP)
――テレビや新聞などの報道機関がYouTube上にチャンネルを持つことが今では一般的となりました。数多の動画の中から正しく信頼できる情報を選別して勧めることの難しさについては?
仲條 信頼できる情報を見つけやすくし、誤った情報の含まれる動画の拡散や表示を減らしていくことが、YouTubeという場を安全なものにすると思っています。信頼性のある情報源として、NHKや民放各局などテレビ各局の動画を例えばホーム画面などからすぐに見つけやすくする取り組みを行っています。
――情報の「正しさ」や信頼性を運営側が決めることが、コンテンツの選別につながることはありませんか。
仲條 表現の自由はしっかり守っていきたいと思っています。その一方で、有害な動画や誤情報の拡散を防ぐガイドラインを私たちは持っているので、どのような表現なら許されるか、その線引きをその都度確認しながらサービスを提供しています。