転校生で部活に馴染もうと努力していたが、入部したばかりで時間が経っておらず、不安を感じ、十分に馴染めていなかった。そんな中で、ソフトテニス部の複数の部員に練習相手を頼んだところ、練習を手伝ってくれず、無視されることがあった――。

 2018年1月、名古屋市名東区の中学1年生、齋藤華子さん(当時13歳)が自殺した。これを受け、条例に基づいて設置された再調査委員会が2021年7月30日に「調査報告書」を公表した。これまでの学校や市教委の調査では認められなかったが、ようやくいじめの存在が認定された。

亡くなった華子さん。奥のぬいぐるみは遺影に使った写真に映っていたもの

もっと早期にきちんと調査をしていれば…

 父親の信太郎さん(49)はこう話す。

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「娘が亡くなった後のアンケートには、加害者とされる生徒の実名が書いてありました。そのため、加害者がいることを知っていました。しかし、学校や市教委は、“いじめはない”としてきたのです。もっと早期にきちんと調査をしていれば、いじめの事実はもっと多く出てきたと思います」

 報告書は、部活動のストレスや学校生活の不安もあったことから、いじめと自殺の直接的な関係を認めない表現となった。8月6日には河村たかし市長と鈴木誠二教育長が、8月8日には当時の校長、担任、部活動顧問らが遺族宅を訪問し、それぞれ謝罪した。ただ、これまでの学校や市教委の対応に不満があった信太郎さんは「社交辞令」との印象を受けた。

名古屋市役所

 17年9月1日、華子さんは、関西地方の学校から転校した。父親の転勤が理由だった。1学期が終わる7月末には名古屋市内に来ていたが、2学期からの転校という形をとり、11月からソフトテニス部に正式入部した。12月24日には部活内の試合「クリスマスカップ」があった。年内の最後は、12月28日だった。「部活ノート」は、25日の記述は1行だけだった。

 18年1月5日は、2泊3日の予定でソフトテニスの合宿があり、華子さんは朝早くに家を出た。学校の部活ではなく、私的な活動扱いで行われていた合宿だ。集合時間は午前7時前。目覚ましは午前5時にセットし、一人で起きて家を出たため、朝は家族と会話はしていない。午前6時45分ごろ、華子さんが集合場所に来てないとの連絡があった。