再調査委には熱意を感じたが、市教委は…
――再調査では改めて、遺族、関係する教職員、友人、通報者、学校の担当者、市教委の担当者からの聞き取りのほか、名古屋市消防局からの資料収集、聴取を行いました。生徒には協力依頼の手紙を何度か出しました。調査方法についてはどう思いますか。
信太郎 市教委や常設の委員会は、協力の意思確認は初回だけで終わり、返信が少なかったのを「よし」としました。協力者が少なくても丁寧にやれば問題がないと言っていましたが、少なければ真実に辿り着くのは難しいです。再調査委では、なんとか協力を仰ごうとしたところは高く評価できます。熱意を感じました。なんとか生徒に会いたいと思ってくれていましたし、娘という個人のことを知ろうと努力してくれました。議論を尽くした形跡もあります。
そもそも、市教委にお願いしていたのは、複数の事案を並行して検討している常設委での調査ではなく、娘のことを専属で調査をしていただける第三者委員会でした。にもかかわらず、常設委で調査することになり、当初は、その説明もありませんでした。遺族軽視の姿勢と感じました。方向性や調査方法等の詳細な説明もありませんでした。
信太郎 また、会議は行われているはずなのに、何の報告もないままでした。こちら側から問い合わせてから報告がなされるようになりました。調査骨子なども3回目になってやっと出てくる始末でした。さらに、会議には多い時で教育委員会側の人間が20名以上も参加していました。遺族側からの代理人の推薦は一蹴しておきながら、調査されるべき側の人間が、多数参加して行われている運営に驚くしかありませんでした。
アンケートに実名が書かれた生徒がいますが、本来ですと、いじめ防止対策推進法の23条には、「いじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行う」との記載があります。しかし、加害者と思われる生徒、保護者に指導や助言をした形跡はありません。娘の死後から今日に至るまで放置状態ではないかと思っています。「やったもの勝ち、逃げた者勝ち」の状態です。指導や反省の機会を奪ってきたのは学校や市教委です。加害者と遺族との橋渡しをし、遺恨を少しでも残さないために尽力すべきだと私は思います。