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2021/09/02

 手術を経て挿入はできるようになったが、問題は解決しなかった。

「泣くほど痛くはなくなりましたけど、挿入自体で気持ちよくなる感じではないんです。自分が気持ちよくないと、相手も遠慮するじゃないですか。相手に加害者意識を持たせてしまうのが、心から苦しくて。

 どうにか解決できないかと、いろいろな本を読みましたが、そのなかで『あなたのセックスが痛いのは、愛がないからです』という論を展開しているものがあって。あれを読んだときは、心から腹が立ちましたね……。女性に“呪い”をかけてると思います」

写真はイメージです ©iStock.com

他人を加害者にしないで済むことに、ほっとした

 そんなミユキさんの体質を尊重して理解してくれたのが、元結婚相手の男性だ。

「結婚している間は夫一筋でしたし、スキンシップも十分あったと思います。ただ、夫が仕事で忙しくなって、すれ違う時間が増えるようになると、心が離れていきました。もし普通の夫婦みたいにちゃんとしたセックスでコミュニケーションができていたら、結末は違ったのかもしれない、とはいまだに思います」

 マッチングアプリでは、それなりに出会いはある。しかし遊び目的でも結婚目的でも、最終的にはセックスは避けられない。どうしても引け目があった。

「普通の恋愛関係において、『挿入できなくてもいいよ』と言ってくれる人に出会う可能性って、非常に低いですよね。仮にいたとしても、誰かを私の事情に付き合わせるのが申し訳なくて。結局誰かと深く仲良くなることは諦めたところで、女風と出会ったんです」

 先にも書いたように、風俗は挿入がNGだ。そうして、なにをやってなにをやらないかは、お金を出している側にゆだねられている。相互に心身を求めあう関係ではなく、「お金」という対価と交換に快楽を提供してもらうシステムのなかで初めて、ミユキさんは人を加害者にしないで済む気楽さを得ることができた。

「“いい奥さん”にも“いいパートナー”にもなれなくて、ちゃんとできない自分が本当につらかったんです。今はパートナーはいないけれど、推しセラピストのおかげで性欲は解消できてるし、ちゃんとしなくてもいいんだって思えて、のびのび生きられてます」

【続きを読む】かけた金は100万円以上、“推しセラピスト”の退店に彼女は…「女性用風俗」にハマった30代女性が得た「教訓」

沼で溺れてみたけれど

ひらりさ

講談社

2021年7月14日 発売

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