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更生プログラムでなおる可能性は?

 また、妻がCさんにいった言葉から、妻には「男はこうあるべき」「夫はこうあるべき」という思いが強く、「夫を一人前の男にしよう」「いい夫にしよう」という気持ちがあることがわかります。

 相手に「こうなってほしい」「こうしてほしい」と自分の望みを伝えるとき、普通ならおだやかにお願いをするものです。けれど、Cさんの妻は暴力的なやり方でしか自分の気持ちを伝える方法を知らないため、ガミガミいってしまうのです。

 このようなCさんの妻の意識はDV加害者に共通するものです。更生プログラムを受けて学ぶことで、Cさんの希望どおり妻のDVがなおる可能性は十分にあります。

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DV妻の背後に、隠れDV夫がいることも

 Cさんのように、妻が一方的な加害者というケースもコロナ禍になって増えてきています。しかし、男性から「妻のDVがひどい」という相談があった場合、双方の話をよく聞いてみると、じつは夫のほうが加害者だったということもあるので、注意が必要です。

 たとえば、こういう事例がありました。

 外国人の妻を持つ男性から「妻がDV加害者なので、ステップに通わせたい」という電話がありました。「どういうことをするのですか」と尋ねると、「手当たりしだいにものを投げるんです」とのこと。そこで、ご夫婦に一緒に来てもらい「カップル面談」を受けてもらいました。

 そうして二人から話を聞くうちに、この夫婦の本当の姿が見えてきたのです。

 夫のほうは、非常におだやかな話しぶりでまったく怒ったりしません。とても冷静です。しかし、ふたこと目には妻に対して「きみ、それは常識じゃないでしょ。日本ではそんなことやらないよ」といいます。まるで口ぐせのようにネチネチと妻のことを否定するのです。

 妻はそうして人前で1時間以上にわたって否定されつづけたことでイライラがつのり、ついに爆発して「なんであなたはそうやって私のことをいつも否定するのよ!」と怒鳴りました。

 その様子を見て私は「あなたたちご夫婦の関係は、夫が加害者で妻は被害者です」と告げました。

おだやかに否定し続けるというDV

 夫は決してものを投げないし、叩きもしません。ただおだやかに否定しつづけるだけです。しかし、この夫のやっていることは、言葉の暴力であり精神的暴力です。多くの人は身体的暴力がないとDVではないと思っているため、言葉の暴力だけではDVだと気づかないのです。

写真はイメージです ©iStock.com

 このご夫婦のように、夫が妻の話をまったく聞かず、一方的に「お前は間違っている」と冷静におだやかにくどくどと妻のことをけなしつづけることで、妻の息がつまってしまうということはよくあります。理屈っぽい夫に言葉では太刀打ちできないため、ひたすら我慢するか、そうでなければ、この妻のようにものを投げたり叩いたりという暴力行為におよぶことになるのです。

 つまり、夫が言葉で妻を追いつめてキレさせ、暴力に走らせるわけです。

 このような場合、もともとの発端は夫の言葉の暴力であり、加害者は夫のほうになります。

【前編を読む】「相手のダメなところをなおしてあげている」 DV加害者たちが明かす“身勝手な論理”…そこに共通するものとは?

DVはなおせる! ―加害者・被害者は変われる

栗原加代美

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