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高身長の人材発掘で世界基準の平均身長へ

 高身長の人材発掘にも乗り出した。米国や欧州に赴き、高校や大学で活躍する日系2世や3世を探し出しスカウティング。あるいは日本のBリーグで活躍する外国籍の選手の帰化に可能性を見出した。東野の情熱は世界にも伝わり、若手有望株の情報があちこちから寄せられるようになったという。

 こうした努力の結果、16年に190㎝だった男子日本代表の平均身長は19年には199㎝になり、世界基準の平均身長になった。

本職がSGの田中大貴(24番)は192cm、馬場雄大(18番)は198cm ©️JMPA

「ないものねだりをしてもしょうがないけど、決めつけるのもよくない。個人の身長は伸ばせないけど、海外から大きな選手を見つけてくれば身長問題は解決できる」

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 そして何より大事なのは育成だ。世界の育成環境をスタンダードに考えてみると、日本に足りなかったのはリーグ戦文化だった。日本の小中高校のスポーツ大会は多くの競技がトーナメント方式を取り入れている。

 負けたら終わりのトーナメント制では「勝つことがすべて」の勝利至上主義に陥りかねない。敗者にはセカンドチャンスは与えられず、失敗から学ぶ機会も失う。また、勝つために出場メンバーが固定され、他の選手の成長の芽を摘み取ってしまう危惧もある。そして強いチームは過密スケジュールになり、選手の負担が大きく、ケガにも繋がる。

試合で学ぶ機会を均等にするためにリーグ戦を推進

「高校には全国に4000チームほどありますが、トーナメント制だと単純計算すれば半分の2000チームが1回戦で姿を消してしまう。年間3大会があるとしたら、大半のチームが公式戦を3回しか戦えなくなる。選手やコーチにとって、試合を通して学ぶことが実は多い。その機会をどのチームにも均等にするためにリーグ戦を推進しています」

 JBAは18年、「リーグ戦実施ガイドライン」を制定、47都道府県の各協会に育成年代のリーグ戦取り入れを推進し、リーグ戦文化を醸成する計画だ。

 東野がこうした様々な改革をマグマのような熱で推し進めてきた。

「多分、心穏やかに思ってない人もいると思いますが、でもスタッフのみんなは僕を好きに泳がしてくれた。感謝しかないですよ」

 そう言いつつ、膨大なエネルギーの源泉となっているのは、バスケが大好きという気持ちが何にも勝っているからだと笑う。