「威嚇したのはそっちでしょ!」

 爆笑問題・がダウンタウン・松本人志に言い放つ。「ここの奥さん(太田光代)が僕のツイッターをフォローしている。意味もわからなくて、なんか遠回しに威嚇されてんのかな」という松本の言葉に返したものだ。

 松本と太田は若い頃からの因縁がまことしやかに伝えられ、長く共演がなかった。2014年の『笑っていいとも!』(フジテレビ)「グランドフィナーレ」で同じステージに立ち、周囲を驚かせたが、その際もしっかりとした絡みはほとんどなかった。その2人の本格的共演が実現したのがフジテレビが8月28日から2夜連続で放送した大型特番『ラフ&ミュージック』の第1夜の最終盤だった。松本人志がキャプテン、サポーターに中居正広とナインティナインという豪華布陣で「笑いと音楽の融合」を掲げた生放送。1夜目のトリで登場したのが爆笑問題だった。ギリギリのラインをわずかでも踏み越えようとする太田と松本のヒリヒリするやりとり。わずか3分40秒ほどの短い共演だったが、30年近くにわたる因縁が凝縮された220秒だった。

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松本人志 ©文藝春秋
太田光 ©文藝春秋

 そしてこの番組ではもうひとつ30年来の関係性が昇華される共演が実現した。1夜目には2夜目のゲストをMC陣が生電話でブッキングする企画が行われた。そこで松本が電話をしたのが、新人時代からの盟友・内村光良だったのだ。長い呼び出し音の後、戸惑いながらも電話に出る内村。けれど2夜の裏番組には内村がMCを務める『イッテQ』(日本テレビ)がある。出演するのは難しい。実際、2夜目のオープニングでも前日ブッキングが成功したゲストの中に内村の名は挙がっていなかった。しかし、番組後半、内村光良はやってきた。「ウッチャン、帰っていいよ、申し訳ない、申し訳ない」と恐縮する松本に「びっくりさせないでよー! なぜかけたかなあ?」と笑う内村。その2ショットにどよめく共演者たち。こちらも『いいとも』「グランドフィナーレ」以来の共演。2人は照れまくりながらも「ウッチャンナンチャンとダウンタウンでなんかやりたいよね」などと展望を語り合った。夢のような約10分間だった。

内村光良 ©文藝春秋

 番組としては正直うまく行っていない部分もあった。けれど、こうした夢の共演を強引にでも実現させられるのはフジテレビならでは。いかにもフジらしいワクワクする生放送だった。因縁にひとつの「終止符」を打った松本と太田。その関係性の「続き」があることを示唆した松本と内村。もしかしたら、その歴史を知らない人にとってはチンプンカンプンだったかも知れない。いわば究極の内輪だ。けれど、それ故、見続けてきた者には深く刺さる。こういう瞬間が訪れるからたまらないのだ。

INFORMATION

『ラフ&ミュージック』
フジテレビ系 スペシャル番組
https://www.fujitv.co.jp/laugh-and-music/