いくつもの鉄道路線が集まっている鉄道交通の要衝のようになっている駅がある。もちろん、それが新宿駅だとか東京駅だとか、そういうターミナルならば万人が納得だ。が、少し都心を外れると、なぜこんなところにいくつもの路線がやってきているのかがよくわからない、そんな駅があるのだ。
そのひとつが、今回やってきた拝島駅である。
拝島駅は東京都昭島市と福生市のちょうど境目に位置している東京郊外の駅で、看板路線はJR青梅線。立川駅で中央線から乗り換えて10分と少し。中央線にも青梅線直通の列車があるから、それに乗ったら東京駅や新宿駅からも乗り換えることなくたどり着く。奥多摩レジャーなどに赴こうとしたとき、その途中で拝島駅の存在を認識した人も多いのではないか。
この青梅線を中心に、JRでは五日市線と八高線が拝島駅に乗り入れる。五日市線は拝島駅が正真正銘の起点で、沿線には東京サマーランドもあってこれまた奥多摩レジャーのアクセス路線として馴染みがある。
もうひとつの八高線は八王子から関東平野の西縁を北上して遠く群馬県は高崎駅を目指すローカル線。まあ、ローカル線といっても高麗川駅まではローカル色はあまりなく、東京の西の端の通勤路線といった趣である。
かくのごとく、拝島駅には青梅線・五日市線・八高線というJRの3路線がやってくる。そしてもうひとつ、忘れてならぬのは西武鉄道拝島線だ。西武新宿駅を始発とする西武新宿線から拝島線へと乗り入れてくる列車も多く、夕方以降の帰宅時間帯には座席指定制の有料列車「拝島ライナー」も走っている。つまり、西武新宿線ユーザーにとって拝島駅は“ナゾの終着駅”という一面も持っているのである。
と、ずいぶん前置きが長くなってしまったが、JR3路線に西武線1路線が乗り入れる拝島駅。東京の23区外の駅では4路線乗り入れは立川駅(モノレール含む)とこの拝島駅だけだ。立川と比べれば地味だが、とにかく拝島駅は紛れもなく東京西部における交通の要衝なのである。だからその名を耳にしたことがある人も、きっと多いのではないかと思っている。
ところが、例のごとく拝島駅に何があるのかはとんとわからない。いったいどんな駅なのだろうか。立川駅から青梅線に乗って、拝島駅にやってきた。
「拝島」には何がある?
拝島駅の構内はずいぶんと広い。JRだけで3路線あって、さらにすぐ隣に西武線のホームもあるのだから当たり前といえば当たり前だが、それだけではない。駅の上り方(立川より)には車両基地とも言えるような広々とした構内を持っているのだ。そしてそこには、何やら機関車のようなものも停まっている。拝島駅は単なる4路線乗り入れの駅というだけではなくて、それ以上の大きな役割を得ているかもしれない。
そんなことを思いながら青梅線のホームを歩く。すると、その端っこに「拝島大師下車駅」という案内板が立っている。拝島大師とはこれまたよく知らないが、拝島駅きっての観光名所ということなのだろう。
他にはとにかく広いということくらいしかホームを歩いていてもわからない。なのでとにかく外に出よう。階段を上って橋上駅舎の改札口を出て、北口か南口のどちらかを選ぶことになる。まずは、西武拝島線のホームに近い北口に出てみよう。