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転職後に親会社が倒産、起業した会社もあわや連鎖倒産… 45歳で退職した元大企業社員が、新浪社長の「45歳定年制」に思うこと

2021/09/18
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だが世の中は甘くない…転職先で会社が倒産

 転職先では子会社の社長を任された。上場も成し遂げた。だが世の中は甘くない。リーマンショックで親会社が倒産した。銀行がやってきて金返せ、と袋叩きにあった。ネットでは罵詈雑言を浴びせられた。なんとか他社と合併をして無罪放免になった。

 ありがたいことにいくつかの会社から誘いはいただいた。でももう会社奉公はやめて独立起業した。最初に作った会社は順調だったがある日、取引先の不渡りから危うく連鎖倒産しそうになった。お金はなくなり、一緒に経営していた連中は逃げていった。毎日立ち食いそばでお腹を満たした。銀行には借金の返済を待ってもらった。

©️iStock.com

 立ち直るまで1年半がかかった。おかげで強くなれた。借金は全額返済して会社は清算し、別の会社を立ち上げて今がある。何人かの人に裏切られ、コケにされたが、多くの人が手を差し伸べてくれた。人に感謝することがどれほど大切であるか思い知った。

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生きるということのしんどさを味わった、何にも代えがたい日々

 こんなめにあいたくない、と多くの人が思うかもしれない。45歳で決断した私も、当初のゴールであるはずの60歳をすでに超えた。世の中で生きるということはこんなにもしんどいものであることを、身をもって感じた。でもこれこそが人生である。紆余曲折を経ながらも、人生を楽しめるようになった。これは何にも代えがたい日々である。

 65歳、ましてや70歳まで企業に飼われて過ごすのは楽かもしれない。でも企業社会主義をいつまでも続けられるほど、世の中は甘くない。

 ネット上で、新浪社長発言への批判を読むと、日本人はいつのまに甘え切った民族になってしまったのかと驚きを禁じ得ない。みんなが同じ人生なんて所詮は歩むことはできない。人生のロードマップを描くのは自分。もっと大事にしたほうがよい。

転職後に親会社が倒産、起業した会社もあわや連鎖倒産… 45歳で退職した元大企業社員が、新浪社長の「45歳定年制」に思うこと

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