もんでんさんストーリーには、人生の復習を感じる
桜木 実は自宅の階段のところに、私の好きな本を置く場所があるんですが、寝る前に、もんでんさんの本を読むんです。大人の漫画っていうのは、眠る前に心を落ち着かせてくれる。私たちの時代の少女漫画って、心をざわつかせるものだけれど、大人になると、一通りいろんなことを経験して、寝る前は、できれば落ち着きたい。
もんでんさんの作るストーリーには、人生の復習を感じるんです。エロスは満載なんだけれども、エロスにいたるまでの気持ち、いたってからの心情を読むと、「これで私は明日、何があっても大丈夫」と思えて、すっと眠れるんです。虚構って、大人になるほど大切なんだよなぁって、そんなことを思っています。
もんでん 嬉しいです。
桜木 だから、眠れない夜は、もんでんさんの『ブルース』か『エロスの種子』を(笑)。
(第2回に続く 「子供は親を選べる。生きていく術を教えてくれた人も親だから」 桜木紫乃が描く、“毒親”から解放される“インモラル”な方法)
桜木紫乃(さくらぎ しの)
作家。1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で第149回直木賞、20年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。『風葬』『起終点駅(ターミナル)』『裸の華』『砂上』『ふたりぐらし』『光まで5分』『緋の河』『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』『Seven Stories 星が流れた夜の車窓から』(共著)、絵本『いつか あなたを わすれても』(オザワミカ・絵)など、著書多数。
もんでんあきこ
北海道出身。1983年のデビュー以来、少女誌から青年誌まで幅広く活躍している。代表作は、累計140万部突破のベストセラーとなった『エロスの種子』(2021年9月現在1~5巻発売中)。圧倒的画力と巧みなストーリーで描かれる、優しくて強くてときに脆い男女のオムニバスは、雑誌「グランドジャンプめちゃ」にて大好評連載中。他著に『竜の結晶』(集英社)、『アイスエイジ』(集英社)など。
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