「他のファンと差別化したいのか、アイドルに妙なポーズを要求してくるんです。あとはオモチャとか野菜とか意味不明な小道具を持たせるというのもありますね。アイドルもよくわからないので言われたままやってしまうんですが、そのポーズがなにか変な意味を持ってたりするかもしれないので困るんですよね……」(坂本さん)
意味もわからず、卑猥なハンドサインをしてしまったアイドルもいるという。
ハートマークの多い、少ないでマウント合戦
「そのアイドルといままで撮ったチェキを何百枚もファイルに入れてきて、それと一緒に撮るというファンもいます。ある意味『これだけ課金してますよ』というアピールとも取れるので、ちょっと不気味ですよね」(坂本さん)
変わった行動をして、少しでもアイドルから認知されたいという心理もあるのだろう。
「撮ったチェキと一緒に焼き肉を食べている写真をSNSに挙げたり、テーマパークに行って、チェキとツーショットを撮ったりしてるファンもいますね。なかにはチェキをラミネート加工して、ラーメンに浮かせて撮影するという、何が目的なのかわからないファンもいました」(坂本さん)
チェキにはアイドルが直筆サインやメッセージを書き入れることがあるが、そこに添えられたハートマークの多い、少ないでマウント合戦が起こり、ファン同士のケンカに発展することもあるという。
「サインに添えるハートマークなんて、特に意味もないというか、アイドルがそのときの気分で描いてるだけじゃないですか。なのに、俺のほうが多いとか、大きいとか怒鳴り合ったりするんです。逆にハートマークが描かれてなかったことで落ち込んで、Twitterに恨み言をずーっと書いたりしてるファンもいます」(坂本さん)
チェキがそれだけ貴重になってくるのは、基本的にライブ中のステージは撮影禁止となることが多いからだ。
「ぶっちゃけ撮影可能にしてもいいんですけど、許可を出すと傍若無人なカメラマニアが集まってくるんですよ。ステージまで1メートルもない小さな会場なのに、月のクレーターでも撮るようなデカい望遠レンズを担いできて、客席に三脚を立てて撮ってたりするんで、他のお客さんの迷惑になるんです」(坂本さん)