「最低のディレクター!」
スタッフから出されたカンペを見た佐久間宣行はアルコ&ピースの平子祐希と目を合わせて笑った。それは2人の冠番組『サクマ&ピース』(福島中央テレビ)でのこと。「いわきの246」こと鹿島街道を訪れた平子が、この街道沿いにあったゲームセンターで学生時代カツアゲされたというエピソードを話すと、佐久間もこの回最初のロケ地「鹿島ブックセンター」のトイレでカツアゲされたことを明かす。
すると本屋ロケ終わりにスタッフから「カツアゲされたトイレ行かなくていいですか?」とイジられた上、次に行くやきカツ屋と絡め「カツアゲとやきカツでカツ縛り」というカンペを出されたのだ。さらにやきカツを腹一杯食べた直後、またも食事ロケという構成。「不慣れなもんで」と弁解するスタッフに「わかるじゃん、同じ人間なんだから!」と平子は呆れる。
佐久間といえば、『ゴッドタン』、『あちこちオードリー』(ともにテレビ東京)などを手掛けているスタープロデューサー。近年ではテレ東社員でありながらニッポン放送の『オールナイトニッポン0』のパーソナリティも務めるなど、局や媒体の枠に囚われない活躍を見せていた。今年3月末をもってテレビ東京を退社しフリーに。そんな中でオファーが来たのがこの番組だったという。最初は「一緒に番組を作りましょう」という依頼だと思ったが、まさかの出演する側だったのだ。
そんな佐久間のパートナーが平子。2人はともにいわき市出身。だからこそ実現した冗談のような奇跡の座組だ。10月17日から毎週日曜4回限定で放送の福島ローカル番組。いまはTVerで全国で見ることができるのがありがたい。福島の日本を代表するヒト・モノに会って全国に拡がるように魅力的にプロデュースするというコンセプト。ロケは10時間で15軒回る強行軍。一番短い所で15分と聞くと「15分で撮れ高つくるのって千鳥」レベルだと苦笑する佐久間。その後も地方番組特有のロケの穴を指摘していく。
一方で初回に佐久間は生まれて初めての食レポに挑戦し四苦八苦。「本当に何も思い浮かばない」と反省しつつ「フリーになるってこういうことなんだね」と天を仰ぐ。2回目に訪れたフラダンス教室では「俺、テレビ界の鬼才って言われてるんですよ」とうそぶきながらもフラの衣装を着させられ不格好に踊る。その姿に「これが鬼才の具現化ですよ」と平子は笑う。
バラエティに不慣れなスタッフの元で、バラエティのことを知り尽くしながらも演者としてはロケ初心者の佐久間が奮闘し、それをこれまで使われる側だった平子がロケの先輩としてツッコんでいく。その奇妙なバランスが唯一無二な魅力を生み出していた。
INFORMATION
『サクマ&ピース』
福島中央テレビ制作 番組終了
https://www.fct.co.jp/program_sp/sakuma_peace/